昨年12月、瑞宝双光章を受章した、大磯小学校、国府小学校元校長の 大塚 正夫さん 小田原市南鴨宮在住 88歳
他者理解から学び響かせ
○…昨年12月、88歳の節目に高齢者叙勲として瑞宝双光章を受章した。大磯小学校、国府小学校で校長まで勤め上げた長年の教育功労の賜物。「楽しかったなぁと思い出すことばかり。どちらの小学校も150周年を迎えた節目に素晴らしいものをいただけてうれしい」と目を細める。
○…音楽の魅力に出会い、心から浸ることができたのは小田原高校合唱部のとき。「県下1番の学校で、歌うことが好きな人が集まっていた。一生涯の友達ができた」と笑う。仲間と「この詞はどういう風にできたんだろう」「この旋律はどう結び付けよう」と表現を磨き上げる作業では、他者を尊重し理解するコミュニケーション能力が鍛えられた。
○…大学卒業後、音楽教員として大磯小学校へ。合唱部を立ち上げ、全国大会で6度の優勝に導いた。「相棒がいたからね」とにやりと笑って話すのは、伴奏を担ってくれた同僚の福井靖史さんのこと。「僕一人では難しいことだらけ。仲間がいたのは、何よりも幸せだった」と話す。
○…合唱部を日本一に導いた手腕を買われ大きく関わった大磯小の校舎建て替えでは、教室の壁を取り払った「オープンスクール」の概念を取り入れた。国府小の校長に就任した際には、「地域ボランティア」を活用した授業をいち早く導入し、雑誌やテレビで取り上げられたことも。大磯プリンスホテルの料理長に、家庭科の授業でクロワッサンのフルーツサンドを作ってもらった時には、さっそく児童らで盛り上がり、子どもだけで作ってみようという声も聞こえてきたという。「なんだって児童の学び。自分から楽しんで、いつの間にか学んでいる様子を見られることが、一番うれしかった」と、教員人生を振り返った。