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小田原・箱根・湯河原・真鶴 人物風土記

公開日:2011.04.02

戦争歴史小説『潮汐の間』を上梓した
フィスク・ブレットさん
市内在住 38歳

溢れるパワーとエネルギー



 ○…3月18日に現代思潮新社から戦争歴史小説『潮汐の間』を出版。19日には都内で講演会も行った。「嬉しい。いろんな人に感想を聞かせてほしい」と刊行の喜びを語った。



 ○…アメリカ・ユタ州出身。祖父も父も戦争を経験、自身は12月7日・真珠湾攻撃の日に生まれ、幼い頃から頭の隅に『戦争』を意識して育った。19歳の時に身ひとつで来日。かつて戦った日本にいることが、戦争とはなんだったのか考えるきっかけとなった。調べていくうちに、興味は日本の陸軍へ。「硫黄島の戦死者の6割は自決。捕虜になるくらいなら死ぬよう叩き込まれている。そんな国は世界中どこにもない」と衝撃を振り返った。小説は民間人が巻き込まれ虐殺された第二次世界大戦末期のフィリピン・ルソン島の戦いが舞台。普通の若者がこうも極端に変わってしまう恐ろしさを描いたが、虐殺を責めることはできないという。「当時生きていたらきっと同じことをしてしまうよ。これは戦争ではなく1人の人間の物語。昔の人を忘れないために書いたんだ」と遠い目をした。



 ○…4人兄弟の次男として、広々とした田舎町で育った。子どもが好きで教育や言語に携わりたいとの想いから、高校時代の夢は小学校の先生。「でも人に指示されるのが苦手でね。1人で好きなようにやりたかった」と苦笑い。現在は小田原で英会話のスクールを開いている。「小田原は山が近くて自然も多いし静かで好き」と笑顔を見せた。



 ○…最初の来日の時には毎朝5時に起きて独学で日本語を勉強したという努力家だ。「辛かった思い出はないよ。楽しかった」とあっけらかんと話す姿は底知れぬエネルギーに溢れている。当時出会った女性が今の奥さん。現在は3人の子どもの父親でもあり、末っ子の娘を「可愛くてしかたない」と目尻をさげる表情は、マイホームパパそのもの。ひたすらに前向きで明るい、パワー漲る人柄が見えた。

 

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