内閣府特命担当大臣表彰を受賞した「ぴよぴよくらぶ」の会長を務める 椎野 典子さん 市内前川在住 69歳
地域に愛される姑さん
○…カラッとした明るい笑顔が印象的。気丈でテキパキとした口調から、弾けんばかりの活力を感じる。「子どもの健全な成長には、お母さんの教育が大事」という思いから、乳幼児と家族が集い交流する「ぴよぴよくらぶ」を続けて18年。核家族化が進む中、若いお母さんたちに子育ての経験から学んだことを伝えている。
○…教員をしながら3人の娘を育ててきた。当時は働くお母さんはめずらしく、育児休暇もない時代。仕事が終わると急いで帰り、家族の食事を作る。おむつは手洗い、冬場は手が痛む。同居していた姑の母親の容体が悪化したため退職し、10年間、家庭介護をしてきた。「自由も遊びもない。当時は当たり前」。それでも「大変」という言葉は出てこない。穏やかに語る経験の全てに、周囲への感謝があふれている。
○…嫁として、母親として、精一杯の日々。そんな中、出会ったのが地域の母親クラブだった。定期的に集まり、育児の情報交換をする。「若いお母さんたちの中で楽しかった」と目を輝かせる。ぴよぴよくらぶの母体、「小田原市母親クラブ連絡会」の会長を10年近く務め、現在は420団体の活動をサポートするNPO法人「市民活動を支える会」の理事長を任されている。地域のために尽力する姿を、家族も応援してくれているのだという。「主人は最高の理解者」と表情が一層華やいだ。
○…明るい色の服を好み、足腰を鍛えるためにエレベーターは使わない。細身の体に宿る底知れぬエネルギーは、前向きな精神から湧き出ているかのようだ。活動には、子どもたちと母親たちへの深い愛情が満ちている。「その時代その時代で母親は一生懸命。育児休暇や介護保険など今はいい制度ができたから、上手に利用して心すみやかに育児ができれば」とエールを送る。「経験者として、姑さんの役割を担いたい」。人生の厚みが物語る、心温かい人柄だ。
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