開局10年目を迎えたFM小田原の最長寿番組「モーニングガーデン」でパーソナリティを務める 牧 いずみさん 市内鴨宮在住
自転車で届ける朝の声
○…野鳥のさえずりや道端に咲く花など、早朝に自転車でスタジオに向かう道すがら感じた季節の移ろいを放送に織り交ぜる。朝の番組ならではのこだわりは、新鮮な空気感を伝えること。「天気や季節の受け止め方も人さまざま。偏らないようにするのは難しい」。番組開始から2300回以上の放送をこなすベテランも、誰もが心地よく聴ける内容に毎朝頭を悩ませる。
○…中学生の頃、「有名人に会える」と夢を抱いた芸能レポーターの道。語学の専門学校へ通い、卒業後は大好きな英語を活かした仕事に就いたが、たまたま目にした小田原ケーブルテレビ(現ジェイコム小田原)の求人広告に胸が高鳴った。小柄ながら、「気持ちとタイミングが合えばすぐにやる性質」という行動派で、早速応募すると番組制作スタッフとして採用された。念願のレポーターだけでなく、カメラマン、編集、ナレーションまでこなす仕事。街を駆け回り、多くの人と出会うなか、故郷の小田原の魅力を改めて知るきっかけになった。忙しくも充実した日々を過ごして7年、「やりきった」と退職。他業界で働くなか、メディアの仕事の楽しさを改めて実感、開局を控えたFM小田原に新天地を求めた。
○…10年程前、機会があって富士登山に出かけて以来、山にはまった。「自然なんて興味がなかったけれど、山で汗をかくと日常の嫌なこともスッキリできるから」。岩場や鎖場の多い槍ヶ岳は「本当にこわかった」と肩をすくめる少女っぽさが魅力のひとつだ。
○…「同じ時間に、同じリズムの声が聞こえる。これが日常なんですね」。東日本大震災で世間が慌ただしいなか、あるリスナーから届いたメールが心に残る。ちょうど仕事への慣れと同時に、番組がマンネリ化していないかと不安だった時期。「変わらないことも大切なのだと教えられたんです」。リスナーに変わらぬ声を届けるため、今日もスタジオに自転車を走らせる。
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