小田原・箱根・湯河原・真鶴 人物風土記
公開日:2021.09.11
現代風のアレンジを加えた「ポップス尺八」の奏者として活動する
石塚 秦雪山さん(本名:俊夫)
(公社)日本尺八連盟所属師範 71歳
伝統の音色 息が続くまで
○…老若男女が馴染みある楽曲を伝統の音色で表現する「ポップス尺八」奏者としてイベントや福祉施設などで披露。「楽器の面白さや楽しさを感じてほしい」と、レパートリーはジャズや洋楽、時には童謡にアニメと多彩だ。9月中旬に予定される内野邸演奏会(満席)は「コロナ禍で活動が制限され、1年半ぶりの機会ですが気負わずに」と笑顔を見せる。
○…小田原生まれ。20代の頃、趣味だったステレオいじりで楽器店に立ち寄り、ふと目に留まったのが「尺八ロック」というレコード。「尺八でロック?って手に取ると映画音楽とかも入っていたんです。聴いたら感動しちゃって」と、かつて父親が趣味で持っていた尺八を引っ張り出し、音を出し始めた。地域の師範に師事したが、若さもあり興味は徐々にスキーや旅行に移り、熱は一旦小休止。「50代で再入門して、ようやく仲間との交流や一緒になって演奏会に参加することの楽しさを知りました」。日本尺八連盟の師範にも合格し、「雪山会」を立ち上げ、活動を始めた。
○…現在は南足柄市暮らし。録音機材などが揃った自室での鍛錬は欠かさないが「部屋にこもってばかりではつまらないでしょ」ときっぱり。旅行先に尺八を持ち出し、時間があれば路上演奏も敢行。「外は特にきちんと吹かないと音が広がらない。腕試しになるし何より聞いてもらえる楽しさがある」
○…レパートリーも増え、新たな楽曲の録音も計画するなど、まだまだ意欲は健在。「ある程度の音色はマスターしたつもりだけど、毎回チャレンジ精神を持っていられる」と尺八の魅力は尽きない。これからも「人に喜んでもらえる限り、自分の息が続くまで」を目標に、古典楽器に親しむ演奏活動は続く。
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