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小田原・箱根・湯河原・真鶴 人物風土記

公開日:2023.02.11

ソプラノ歌手40周年のリサイタルを行う
菊地 貴子さん
小田原市本町在住 65歳

やり尽くす、それが全て

 ○...小田原三の丸ホールで4月、40周年となるソプラノリサイタルを行う。二期会オペラに所属し、数々の舞台に出演してきた。「今も声が出ることがありがたい」と「祈り」をテーマに、歌手を志した頃の歌曲から、40代を過ぎて出会った現代曲までをセレクト。「65歳の私がどこまで歌手としてやれるのかを見てほしい」と思いを込める。

 ○...東京都出身。高校1年の夏、ふとラジオから流れてきたマリア・カラスの歌声に心を奪われた。「私これになる」と、ひらめきで音大を目指すことに。「歌手は体格が命と信じ、1日5食」で体重も増やした。声楽科への入学は補欠合格だったが、圧倒的な練習量で大学院は首席で卒業するまでに。二期会に入り、25歳でデビューし、その数年後には若手としてとしては異例のアンダースタディ(控え役)として注目を集めた。国内トップランクの歌手や演出家などに囲まれ、刺激的な日々を過ごした。

 ○...徐々に主要な役をもらえるようになり、ついに30代後半にベートーベン「フィデリオ」の主役に抜擢。ところが、思った声が出せず舞台は失敗。専門誌にも酷評され、「舞台に立つと震えた」。失意の中、伴奏者・服部容子氏と出会い、「やり尽くすしかない」と練習に明け暮れた。40代半ばで二期会50周年公演のオーディションに挑戦した。「ふしぎなほど冷静に歌えた」と復活を果たした。

 ○...結婚を機に小田原へ来て、30年以上。「夫の多趣味を見逃しているので、私の音楽への没頭も許してもらっている」と夫婦円満。FMおだわらで音楽番組を持ち、音楽の可能性を発信。「ロックも2・5次元舞台も息子たちから情報をゲット」と音楽への尽きない興味が原動力だ。

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