小田原・箱根・湯河原・真鶴 人物風土記
公開日:2023.12.09
NPO法人おだわらイノシカネットの理事長を務める
穂田 芳雄さん
小田原市荻窪在住 79歳
1日でも長く活動を
○…小田原近隣の農林地を守るためスギやヒノキなどの樹皮や農作物を食べるシカやイノシシなどの被害減少に向けて、くくり罠による駆除活動を行う。2019年のNPO設立当初10人ほどだった会員も約40人まで増加。活動範囲も広がり、今年の捕獲数は580頭を数える。農作物の食害対策だけでなく、植物の多様性を取り戻すためにも「継続的にやるしかない」と今日も山に登る。
○…小田原出身。高校卒業後は家業のミカン農園を継いだ。くくり罠の免許を取得したのは66歳のとき。運営していた市民農園がイノシシの被害に遭い、狩猟の経験はなかったが「やるしかない」と決めた。初めて罠にかかったイノシシを見て「どうしよう捕れちゃった」と振り返り笑った。「いい仕事じゃないけど誰かがやらないと」とそれ以来、農業をしている知人からも依頼が来るようになった。
○…個人で活動を続けていたなか、2018年に前身となるチームを3人で結成。捕獲体制を確立するため、翌年にイノシカネットを立ち上げた。捕獲から解体までできる人材の育成を目的に2020年からは「くくり罠塾」を始めて、これまで約100人を指導した。「現役でやれるのもあと少し。1人でも多く育成してきたい」と後世の活動に期待を寄せる。
○…多い時で1日に7、8頭捕獲することもあり、会員から駆除の報告や解体施設の手配など、日々何度も携帯電話が鳴る。当番の日には山の見回りも行い、シカやイノシシの捕獲や解体を自ら行う。未経験から今なお活動を続けて「ライフワークになっている」と充実感に満ちた笑顔。「現役で社会貢献できているのがうれしい。1日でも長く活動したい」と思いを語る。
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