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小田原・箱根・湯河原・真鶴 人物風土記

公開日:2025.08.30

相模人形芝居下中座の5代目座長を務める
佐藤 光昭さん
八王子市在住 67歳

楽しさから醍醐味に触れて

 ○…小田原市の小竹地区で江戸時代から受け継がれてきた国指定重要無形民俗文化財の相模人形芝居を演じる「下中座」。日々の練習から市内外の公演に取り組む新座長は「気負いとかはないんです。もっと多くの人に知ってもらう活動を」と表情を崩す。

 ○…生まれ育ちは徳島県。高校時代にふとのぞいた阿波人形浄瑠璃の部活で「一生懸命やってるなって思って入部したのが最初です」。大学卒業後に電子情報関連の企業に就職し、関東へ。30代のころに新聞で見かけた下中座の後継者育成教室の記事に「文楽は観ていたんですが、また演じる側への興味がわいてきて」と、小さな灯が反応した。先輩の親身な指導や懇親会、箱根での合宿などを振り返り「一緒に作り上げることや同じ思いを持つコミュニティーというのが楽しくて30年以上続いています」

 ○…息子2人を育て上げ、退職後に社会福祉士の資格を取得。今は施設に勤務しながら稽古に通う悠々自適な時間。趣味を聞くと文楽鑑賞が最初に出てしまい苦笑い。「座長1年目は学ばないといけないこともあると思うので、いつかはふらっと夫婦での旅行とかも楽しみたいですね」

 ○…稽古場では老若男女関係なく冗談交じりの会話が溢れるが、練習に入ると空気が一転。3人が息を合わせて演じる人形は魂が宿っているよう。「人形を動かすと集中するので、嫌なことも忘れられるし夢心地にもなれる。それが醍醐味です」。まずは人形芝居に触れてもらおうと、地域の小中学校への出前授業も計画。「観て触ってもらえれば惹きつけられる何かがある。仲間と人形を動かして作り上げる楽しさを共有したい」。伝統文化を守ることの前に、その魅力を広く伝えようとの思いは強い。

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