箱根町の彫刻の森美術館が8月1日、開館から50周年を迎えた。1969年のオープン時、野外美術館は国内で唯一。その草分け的存在として、半世紀にわたり活動を展開してきた。
箱根の山々が背景に広がる広大な庭園に彫刻作品が配置され、そのダイナミックさに当初から大きな注目を集めた。常設展示されている近・現代の作家による作品は約120点。このほか、室内展示場や箱根らしく天然温泉の足湯もある。
2018年度の外国人来館者数は全体の2割を超える60万人。箱根という立地や野外美術館の珍しさもあり、過去5年間で約10万人も増加するなど国際的な人気観光スポットになっている。小田原市や箱根町の小学校の遠足先でもあり、地元にも馴染み深い存在だ。
ピカソ館を全面改装
50周年を機に、絵画や版画、彫刻などの所蔵作品を順次展示しているピカソ館を全面改装。建築基準が厳しい地域であるため内装のみだが、床・壁・天井を箱根の雰囲気にあわせたナチュラルなデザインに一新した。このほか、作品を保護するケースには高透過ガラスを使い、紫外線による作品への影響を考慮してLED照明を採用した。
1〜2年のローテーションで順次展示してきた全319点のコレクションに新作の追加はないが、見せ方を工夫。たとえば、花嫁姿の妻・ジャクリーヌを題材にした版画は少しずつアレンジが加えられた様子が分かるよう18点を一列に並べて展示されている。学芸員の黒河内卓郎さんは、「物事が変わっていくことを常に追い求めたピカソをよりよく理解してもらえたら」と話していた。
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