開成弥一芋研究会会長の 武藤 輝夫さん 開成町金井島在住 79歳
粘り強く、たくましく
○…かながわブランドに認定される「開成弥一芋」は10月初旬に初出荷を迎え、現在出荷の真っただ中。今年で9年目を迎えた開成弥一芋研究会の3代目会長を務める。昨年のブランド認定をはじめ、普及に尽力した前会長が病に倒れ、今年4月に新会長に就任した。「お前がやるしかない」と25人のメンバーからも背中を押された。「今日も予定より(出荷量が)オーバーしたよ」と手応えを確かめた。
○…開成町で生まれ育った。学生時代はバレーボールに明け暮れ、自宅は米を主に生産する兼業農家。自身もサラリーマンをしながら父から術を学んだ。リタイア後は稲作を続ける傍ら同会のメンバーに加入。「地域や子どもたちのためにもなれば」と全体で100アールにもなる畑で毎年13〜14トンほどを出荷している。「お客さんの要望に応えながら品揃えもしっかりしていかないと」と自宅裏の畑をほ場にし、県技術センターの先生を招いて会員や新規加入者らに講習も実施する。
○…孫が4人。「ときどき畑でいたずらをしています」と言いながらも祖父の背中を見て、すくすくと成長している。息子2人は「話し合ってよくやってくれている」と田んぼの作業を任せられる存在だ。「もうやっていませんけどね」とはにかむが、開成ジョギングクラブに所属していた元市民ランナー。80歳を目前に心身ともに元気でいられる理由はここにある。
○…全国的なメディアにも取り上げられている「ねっとり、甘い」弥一芋。「栄養分析をもっと細かくして、他の里いもとの違いを明確にして売り込んでいきたい」と今後の課題は明確だ。「販路がしっかりしているから自信をもって栽培できる。『開成弥一芋ブランドのさらなる向上』が今一番にやるべきこと」