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公開日:2025.09.13
松田町長選
現職本山氏が薄氷の勝利
新人・坂田氏に41票差
任期満了に伴う松田町長選挙は9月7日に投開票され、現職の本山博幸氏(55)が新人の元会社員・坂田純氏(59)を41票の僅差で破り、4選を果たした。午後10時過ぎの開票確定まで、勝負の行方が見えなかった大接戦の現場を取材した。
先に立候補を表明したのは坂田氏で、5月のことだった。「町政に町民の声が十分に届いていない」とし、新松田駅前の整備を現実的で持続可能な計画への見直し、町政の透明・公平性の徹底などを掲げた。
本山氏は2013年に5選を目指した当時の現職を破って初当選した。その後、自身の町長任期を3期12年までとする多選自粛条例を制定していた。この条例は、町民有志が条例廃止を求める直接請求を行い、今年5月の町議会で廃止議案が可決された。
6月に入り出馬会見を開いた本山氏は「多選自粛は重い公約で、投票してくれた人には裏切った形になるが、それだけではない所でしっかりと恩返しをしたい」と説明。自身が「町民最大の願い」だとする新松田駅周辺整備など、やり残した事業がある点に触れ「バトンを渡せる状態ではなく、責任持って事業を完結させるために決断した」と続けた。
選挙戦の主な争点となったのは、それぞれの候補者が出馬会見で語った「駅周辺整備」と「多選の是非」だった。
迎えた投開票日。投票率は前回を4・54ポイント下回る61・07%になった。午後8時半過ぎ本山氏は、発表された最終投票率を確認すると「前回と同程度なら、という気持ちだった。下がったことで心配だ」とやや表情を曇らせた。そして9時45分に1回目の開票速報。1500票で両者が並ぶと、予想と違ったのか、本山氏の事務所では驚く人の姿もあった。そこからの20分は静かに結果を待つ状況が続いた。沈黙を破ったのは、10時過ぎの開票確定発表を確認した本山氏の「よしっ」という声。しかし、拍手で沸いた事務所が、一瞬静かになったのは事務所の開票結果ボードに数字が記入された時。本山氏2738票、坂田氏2697票。その差は41票という、極めて僅差だった。
一方、坂田陣営では、得票差が小差だったため、開票所にいた立会人の帰営まで、望みをたくす支援者の姿も見られた。
結果確定後、坂田氏は支援者を前に、深々と頭を下げ「町をくまなくまわり町民の声を聞く中で、町政を変えて欲しいと期待をする声が増していったが...」と悔しさをにじませた。最後は「町民の皆様が現職を選ばれたということ」と述べ、改めて頭を下げた。
取材の現場から
知名度で勝り、任期中の取り組みを実績としてアピールできる現職の圧倒的有利の見方も多かった中での僅差決着。陣営の中からは「選挙は勝てばいい」という声も聞かれたが、マイクを握った本山氏は自分に強く言い聞かせるように「2700人もの人が本山ではないと判断した。今後の町政運営は両耳で、真摯に」と言葉をつないだ。
拮抗した選挙の後に起こりがちなのは、分断や政策の偏りだ。本山氏は「住民の方々に正しい情報をしっかりお渡しし、正しい判断のもとに行政が進んでいることを信じてもらえるようにしていく」と、丁寧な政策実行を強調、情報発信にも力を入れる考えを示した。
本山氏に一票を投じた人も、「本山ではないと判断した」人も、町の未来を大切に思っている点では同じだ。今後もその両耳を、一層そばだてた町政運営を期待する。
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