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秦野 人物風土記

公開日:2011.04.30

秦野美術協会の会長に就任した
山田 英一さん
寿町在住 64歳

自然体で描く自分の「色」



 ○…「思えばずいぶん長いつきあいになるね」。柔和な笑みで目を細める。同協会との出会いは41年前、発足した年に行われた第1回秦野美術協会展への参加がきっかけだった。当時はまだ正式な会員ではなかったが、「とにかく人手が足りなくて、僕も大工道具を持って掲示用のパネルを作ったよ」。身振り手振りを交えて語る苦労話にも笑顔が絶えないのは、充実した経験が、かけがいのない思い出となって、今も心の画廊を飾っているからだろう。



 ○…発足当時は13人だった会員も現在は66人。舵取り役への就任だが「僕は僕なりのスタイルでやっていくだけさ」と、重責への気負いは感じさせない。だが、協会の将来に話が及ぶと「もっと若い人に参加を呼びかけたい。高校の美術部と協力した協会展も良いし、日本画や彫刻など、敷居が高いと思われているなら教えに行っても良い」と、静かな情熱を燃やす。



 ○…絵を描く楽しさを知ったのは、高校で友人に誘われるままに入部した美術部での油彩。「何かを作る楽しさに惹かれた」という。その友人とは、大学卒業後に小田原でグループ展を開くなど、今もご近所づきあいの仲だ。風景、人物と描いてきたが、今は抽象画が中心。「テーマを決めて描き始める人もいるけど、僕はキャンバスにとりあえず色をつけてみる。そこから、これだ!っていう色合いを求めていく感じかな」と分析する。「誰でも子供の頃は何かを描いたことがあるはず。でも、みんないつのまにか描く楽しさを忘れてしまうんだよね」とポツリ。



 ○…6月に市文化会館で行われる第41回秦野美術協会展では、東日本大震災の発生を受けて、例年秋に行っていたチャリティー展示会を前倒しして初の同時開催に。「過去最大の出展数が予定されている。記念すべき第50回へ向けた、忘れられない第一歩にしたい」。就任したての真っ白なキャンバスに今、最初の一筆目が鮮やかに踊る。

 

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