秦野 人物風土記
公開日:2012.09.08
県美術展・工芸の部で大賞を受賞した
小泉昌浩(まさひろ)さん
平沢在住 41歳
世に残るものを作りたい
○…ガラス加工や研磨などを行う自身の仕事を活かした工芸作品を創作。「研磨に専門的な技術がいるため珍しいジャンル」と話す。受賞作品のタイトルは破滅を意味する「Catastrophe」。作品は正面から見たら透き通った無色なのに、上から見ると光によって赤色に変わる。「見る角度を少し変えるだけで、全く違う色になる。原発事故で事実を隠し、嘘を付き続ける政府や東電への皮肉を込めた。大賞は驚いた」と振り返る。
○…市内平沢出身。小学生時代は5年連続で絵の表彰を受けるなど、図画工作は得意だった。高校卒業後、父が経営する墓石などを製造する石材店で10年修行。「”困った時の駆け込み寺”と呼ばれるほど、父の研磨技術は信頼があった。マニュアルが無いので、やりながら覚えた」と振り返る。その後、依頼をきっかけにガラス加工も開始。石で培った技術は、難しいガラスの研磨も見事に仕上げた。2004年には父の跡を継ぎ代表取締役に就任し、社名も「メイク小泉」に。今では仕事の約9割がガラス加工で、腕前が評判を呼び全国から依頼が来る。「磨きのツヤには絶対の自信がある」とプライドを覗かせる。
○…「仕事も創作活動も、世に残るものを作り続けたい」と話す。自身が手がけた加工品は世界中に広がる。「ブイとしてエーゲ海に浮かんでいたり、海外の有名美術館のベンチを手がけたり。でも、下請け業務で手掛けたものは公表できないものも多い」と残念がる。ガラス工芸は仕事の技術向上のため、独学で始めた。「作品ひとつに半年から1年ぐらいかかるから、愛着が湧くよ」と明かす。
○…妻と2人娘の4人家族。年に1度は家族でディズニーランドへ行くなど仲は良い。「でも、家族はみんな僕の工芸には全く興味がなくて」と苦笑いする。今後は「大賞を取ったので、次がプレッシャー。納得いく作品が作れたら、全国規模の大会にも出展してみたいですね」と話した。
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