第27回夕暮祭短歌大会 翼広げた春キャベツ詠む 市長賞に細谷幸子(さちこ)さん
郷土の歌人・前田夕暮、谷鼎(かなえ)の文学遺産を長く受け継いでいくため、大人から子どもまで参加でき、全国から短歌作品を募集する「第27回夕暮祭短歌大会」(主催・秦野市、秦野市教育委員会)の表彰式が5月24日、市立図書館で行われ、最高賞の秦野市長賞に細谷幸子さん(88・南が丘在住)が選ばれた。
細谷さんの作品は「羽搏(はばた)いて飛び立つ如し春キャベツ生き生きとして厨辺(くりやべ)にあり」。スーパーに買い物に行ったとき、たくさん陳列された柔らかそうな春キャベツの外側の葉が翼を広げているように思え、今にも飛び立ち、台所で生き生きしている情景が浮かび、歌にしたという。選者の村岡嘉子氏は「厨辺(台所)から生命の萌え出でる季節への想いがいきいきと生彩豊かに歌われている」と評した。
細谷さんは思いがけない受賞に「本当にうれしいです。胸に明かりがポッと灯ったよう」と受賞の喜びを話した。
秦野市教育委員会教育長賞には藤林正則さん(北海道札幌市在住)の「廃校の体育館に灯がともり牛飼ひ集ひバドミントンする」が、秦野市立図書館長賞には北村純一さん(厚木市在住)の「口笛を吹けば駆け出す馬の背にこぼれる春の光を見たり」が選ばれた。
今大会には9歳から100歳までの308人から作品が寄せられた。27回目にして初めてアメリカ、オーストラリアなど海外から7首の応募もあった。黒田素子さん(アメリカ在住)の「七草は米ではとても手に入らず一草で茶粥に卵とじこむ」(佳作)といった郷愁の想いが垣間見える、海外生活ならではの作品も詠まれた。
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