秦野 人物風土記
公開日:2016.05.14
「鶴巻温泉 元湯 陣屋」代表取締役社長
宮崎 富夫さん
鶴巻在住 38歳
旅館業の革命児
○…着物を粋に着こなした旅館経営者、またある時はスーツに身を包みエンジニアとして活躍する2つの顔を持つ。予約状況や勤怠・顧客管理など、旅館を経営するにあたり必要な情報を、スタッフの情報端末で共有、一元管理が可能なシステム『陣屋コネクト』を独自開発した。仕事の効率化により「空いた時間をよりサービスへの時間に充てられる」。また旅館業としては珍しく週休2日も取り入れた。従業員満足度が顧客満足度に繋がる。「取引先の多い旅館業が潤うと、必然的に地域も潤う。観光立国日本の国力を高めることに繋がる」。大きな話だが、今や話題を集める時の人が話すと説得力が違う。
○…陣屋の庭園が遊び場だった。幼い頃から車が好きで、小学校の卒業文集に書いた将来の夢は「博士」。根っからの理系人間で、慶應義塾大学では「やりたい研究がまだまだある」と、大学院に進学。卒業後、本田技術研究所に入社し、燃料電池の研究を進めるエンジニアに。しかし父が他界し、女将の母も入院。陣屋存続の危機だった。「ここでやらなくては後悔する」と、経験ゼロの旅館業に転身した。
○…最近では子どもが囲碁に興味を持ち始め教室へと送迎する。「待ち時間に打ってみるとこれがまた楽しくて。捨石や定石、経営に通ずるところがあり、勉強になる。今になって楽しさがわかってきた気がする」と柔らかな笑顔を見せるが、幼い頃「打たされていた」時には、楽しさはまるでわからなかったとか。
○…自ら開発した『陣屋コネクト』。システムとして売るにあたり、立ち上げ当初は自ら営業に回った。旅館は不便な場所にあることが多く、合理化を図りキャンピングカーで日本全国営業に回り、1年間で10万Km走破したことも。今や全国、世界180施設で利用されるほどに。あと2年で陣屋は創業100年を迎える。革命児が次は何を興すのか、期待が集まる。
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