画家で絵本作家の舘野 鴻(たての ひろし)さん(秦野市堀西在住)が、ブラチスラバ世界絵本原画展(BIB)の出展作家の1人に選ばれた。同氏は昨年9月に発刊した絵本『がろあむし』から、原画4点を出品する。
BIBは1967年に始まり、スロバキアの首都ブラチスラバで隔年開催されている世界最大規模の絵本原画コンクールとなる。ひとつの国から参加できる作家は15人で、日本では日本国際児童図書評議会が出展作家と作品を選んでいる。
絵本へのこだわり
選出された『がろあむし』は、舘野さんの代名詞とも言える緻密な昆虫画を軸にした絵本。舘野さんによると、ブラチスラバではアート系の絵が選ばれることが多く、昆虫画が入ることは極めて珍しいという。
舘野さんの描く絵は「ワイルドライフアート」と言われ、「好きな人には刺さる」という印象が強いものになる。絵画と科学的なイラストの狭間に位置し、若い頃はこのどっちつかずの状況に悩んだ時期もあった。
しかし、フィールドワークによる観察から描かれる絵本は独自の世界観を生み出し、これまでに多くの作品を手掛けている。「話と絵、両方あっての絵本だから、絵だけ選ばれて特別どうということは、個人的にはない」と話すが、「応援してくれている人たちがとても喜んでくれているのが、素直に嬉しい」と顔をほころばせる。
BIBには『がろあむし』で使った景観の絵と地下世界の絵、地下で暮らす昆虫たちの絵2枚の計4枚を出展。入賞者は今年10月に国際審査を経て決定される。
「100年残る絵本」を描くため、プロとして筆を執り続ける舘野さん。新たな表現に挑戦した絵本や初めての小説の発刊など、すでに進行している取り組みが多数あり、本として来年形になるものもあるそう。
「どう伝えていくかがとても大事で、それがとても難しい。でも、だからこそ人生をかける価値と面白さがある」と舘野さん。「絵本は教育の側面が強いと思うので、子どもを大事にする本や若い作家が増えてくれたら」と、自身の活動への思いを語った。
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