秦野 文化
公開日:2023.05.19
南が丘在住井越基生さん
双体道祖神 一冊の本に
一部を図書館などに寄贈
井越基生さん(南が丘在住・86)が『秦野の双体道祖神 淡彩素描集』を制作した。画集には、同氏が5年がかりで描いた秦野市内の双体道祖神の絵が収録されている。
外から襲う悪霊を防ぐ「道の神」である道祖神。市内約310体のうち180体が双体道祖神であるとされ、井越さんはこれらを歩いて探し、淡彩画に描き上げた。この絵の一部は、過去にタウンニュース秦野版の不定期連載コーナー「淡彩画でめぐるはだのの双体道祖神」でも掲載している。
本にしたきっかけは、知人からの一言。楽しく描いて終わりにするつもりだったが、「歴史的な資料でもあるのにもったいない」と言われ、本にして残すことを決めた。
編集はパソコンを使って自分で行い、双体道祖神の絵は見やすいよう地域ごとに分け掲載している。合間には道祖神を探し歩いた時のエピソードなども差し込んだ。印象深かったのは、地図と20年前の資料を見比べ苦労して探した八沢での出来事。「その時、ヤマビルに襲われたのを近所に住む人が助けてくれて」と笑顔で語る。
完成した20冊の本には、それぞれ1枚ずつ原画を挿入。残った原画は資料として市教育委員会に寄贈した。また、本もほとんどは知人や世話になった人などに進呈したが、一部は市民が閲覧できる資料として、秦野市立図書館とはだの歴史博物館に寄贈している。
「双体道祖神は、とてもいい顔をしているんです。地域の中に埋もれてしまっていますが、文化的な財産としてこういうものがあると知って欲しい」と井越さんは話す。
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