秦野 人物風土記
公開日:2023.11.24
自由律俳句「九官鳥句会」を主宰する
井上 敬雄さん
渋沢在住 72歳
自由律俳句で感性を磨く
○…本町公民館で11月26日(日)から12月1日(金)まで、会員の作品展示を行う九官鳥句会。南公民館の自由律俳句の講座から自主サークルとして立ち上がり、2010年から正式に活動が始まった。今年4月には、会の第一句集『あさひ』も発行。「季語や文字数の制限なく、感動したことをそのままの鮮度で伝えられることが魅力だね」とほほ笑む。
○…もともと自由律俳句には縁がなかったが、20歳の時大学の図書館で尾崎放哉(ほうさい)の句「入れものがない両手で受ける」に出合う。「雷に打たれたような感覚になったんだ」。その後1972年に自由律俳句の祖ともいわれる荻原井泉水(せいせんすい)が創始した結社「層雲」に入門。2015年には全国的なコンクール「放哉賞」で大賞を受賞するなど、確かな実力を持つ。
○…本町小・中の卒業生。秦野高校から二松学舎大学への進学は、市の歌人・前田夕暮と同じ経歴だという。「夕暮が自由律俳句を選んでいたら面白いことになっていたかな」と想像を膨らませる。大学卒業後は、秦野市役所に就職。公民館の館長も務め、”旧館長”なので句会も「九官鳥句会」と名付けたのだとか。現在妻と2人暮らし。独立した子どもも3人いるが「家族で自由律俳句が好きなのは私だけでね」とのこと。
○…これまで50年以上関わってきた自由律俳句だが、「飽きたことは一度もないんだ」ときっぱり。自由律俳句は、感性を磨き、豊かな人間性を培うことができるとも考えている。句会を立ち上げたのも、「人づくり」をしたいとの思いからだ。「多くの人に、自由律俳句の良さを知ってほしい。ただの趣味ではなく、一生をかけて極めていくつもり」。これからも自身と向き合い、創作を続けていく。
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