秦野 文化
公開日:2025.11.14
秦野は”彫刻のあるまち”
約40年前からある身近な芸術
風景の中に溶け込む野外彫刻。駅前、カルチャーパークやNITTANパークおおねといった公園など、数多く彫刻が設置されている秦野は”彫刻のあるまち”でもある。今年度は市制施行70周年を記念し「第6回秦野丹沢野外彫刻展 OMOTAN Sculpture Award」も行われ、そこで選ばれた2作品が新たに表丹沢の麓に設置予定だ。普段はあまり気にしていないが、実は私たちの暮らしのすぐそばにある秦野の彫刻--。その歴史と彫刻への想いを取材した。
いつでも誰でも鑑賞できる彫刻
秦野市は1986年、水や緑を背景に、その場にふさわしい彫刻を設置し、人々にうるおいと安らぎを与える都市空間の創出を目指した「彫刻のあるまちづくり事業」をスタート。翌年に初の「丹沢野外彫刻展」を開催し、入賞した17点を制作・展示、展示会後はカルチャーパークを中心に設置した。
89年には秦野駅北口広場のまほろば大橋の完成を記念し、2回目の彫刻展を実施。続いて、93〜94年に渋沢駅北口、97年に秦野駅南口、03〜04年におおね公園(現NITTANパークおおね)にそれぞれ設置する彫刻を公募し、彫刻展を実施している。彫刻展以外にも鶴巻温泉駅前や渋沢駅南口などに市民の目に触れやすい場所に野外彫刻が設置され、まさに「彫刻のあるまちづくり」が進められてきた。
秦野市文化振興課によると、現在管理する彫刻数は野外・室内を含めて54基。同課は「野外彫刻の魅力はいつでも・誰でも鑑賞でき、直接触れて感じられるという点。日常の中で芸術作品に気軽に触れる機会を作り、文化芸術を身近に感じ、彫刻やまちに愛着を持ってもらえれば」と話す。
04年度からは、市は彫刻の日常点検や清掃を行うボランティア「彫刻愛し隊」の取り組みを実施。また、市民参加型の「野外彫刻鑑賞アートウォーク」や東海大学との連携事業「彫刻を触る★体験ツアー」などを行い、彫刻設置をしていない間も、まちの中にある資源を活用し、啓発に努めてきた。
70周年記念し新たに2基設置
今年度は市制施行70周年を記念し、およそ20年ぶりに第6回彫刻展を開催。全国から公募し、91点のマケット(模型)作品の中から2点が「70周年記念賞」として選ばれた。現在、今年度中の設置に向けて制作が行われている。
設置されるのは市が進める「表丹沢魅力づくり構想」に基づき、表丹沢の麓である県立秦野戸川公園とはだの丹沢クライミングパークだ。同展にアドバイザーとして関わった彫刻家の横山徹さん(71・渋沢在住)は「野外彫刻は場所がとても大切なので、設置場所の選定には苦労しました」と話す。
自然と調和し息づく”彫刻”
横山さんも過去の彫刻展に出品し、「COSMIC RING」(まほろば大橋)、「風景の器」(渋沢駅北口)、「天空の塔」(NITTANパークおおね)の作品3基が設置されている。
野外彫刻の魅力は「自然や風景の中にあることで、人の想像力をかきたてること。彫刻によって風景が変わるし、彫刻自体も日の光や季節によって見え方が変わるのも面白いところだと思います」と話す。昔から美術が好きで、とりわけ立体物に興味があった横山さん。金沢美術工芸大学在学時に二紀展で入賞し、卒業後は彫刻家として生きていくことを決めた。
秦野には30年程前に一度引っ越し、その後各地を転々とした後、10年程前に峠地区に居を構えた。現在は、自宅兼アトリエで創作活動にいそしむ。横山さんが自身の作品に使う小松石は、真鶴でとれる石だ。小さいものだと、大磯の海岸や、秦野市内の川で石拾いをすることもあるそう。自然石の良さを残しつつ、形を整えていく。テーマは『自然との対話』だ。
「秦野は自然が豊かで、郷土の滋賀県にも雰囲気が近い。混み入っていないから、作品の制作もしやすいです」
「自分の好きな彫刻見つけて」
「こうして長く『彫刻のあるまち』を地道にまちづくりとして進めているのは、全国でもあまりないのでは」と横山さん。文化振興課の担当者も「例えば、秦野駅南口にある彫刻は市民が気づかずにベンチとして座るなど、ある意味で風景に溶け込んで受け入れられている証しだと感じている。それぞれの特徴を知り、ぜひ、ご自身が好きな彫刻を見つけてください」と話す。
市は現在、「彫刻巡りデジタルスタンプラリー」を実施中。これを機に、毎日通る道や場所に溶け込んでいる彫刻を探してみるのも面白いのではないだろうか。
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