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金沢区・磯子区 人物風土記

公開日:2012.07.19

金沢動物園で街頭紙芝居を行う
山下 康さん
西柴在住 68歳

ユーモア溢れる「おはなし」



 ○…チョンチョンチョン-。拍子木を打つ音が響き、子どもの目が釘付けになる。「太い箸じゃないよ」。一同が笑いにつつまれる。紙芝居の「はじまりはじまり」だ。独学で「街頭紙芝居」を始めて13年が経った。「150回くらいはやったかな」と笑う。年季の入った「おはなし」を携え7月22日(日)、金沢動物園の舞台に立つ。



 ○…香川県出身。横浜市立大学を卒業後、34年間続けた塾を閉め区内の商業施設で駄菓子屋の店長になった。しかし時代は不景気真っ只中で客足が伸びない。「集客力があって全体が活気づく良い手はないか」。駄菓子屋といえば紙芝居とひらめいた。「とにかく子どもも好きだったしね」。



 ○…シーサイドファームの一番奥で大声を出して練習した。商業施設内で行った初舞台は「50人入るスペースに10人。それが2、3分たったら4人になっていて」と苦笑い。それからは「1にも2にも練習と経験」で努力を重ねた。1年ほど経つと紙芝居の「目新しさ」と、登場者になりきる「思い切りの良い」台詞回しに人が集まるように。今や高齢者施設や幼稚園からもひっぱり凧だ。終了後、一生懸命な拍手をもらうと「やめられないねぇ」とにっこり。「紙芝居にある『間』が大切。1枚目を抜くと、次の絵がでてくる間に子どもは色んなことを想像するんです」と魅力を語る。



 ○…家では同居している孫専属の「紙芝居やさん」だ。「あのおはなしやって」とリクエストもしばしば。5月に役者として立った舞台には離れて暮らす孫も駆けつけた。幕が閉じると「じーじ」コール。「会場は大笑いで」と言いつつ、可愛くて仕方ないという顔だ。これからは街頭紙芝居の普及に努める。地域に根差したおはなしも考えたい。鍛えられた語り口調でテンポよく話す反面、カメラを向けると表情は硬い。「よそ行きの顔はタンスにしまってきちゃったよ」。それでもユーモアの引き出しはいつも開け閉め自由のようだ。

 

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