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座間 人物風土記

公開日:2013.10.25

鈴鹿明神社しめ縄奉納同志会の会長を務める
野口 利夫さん
入谷在住 81歳

先人の想い、後世につなぐ



 ○…辿ることができるだけでも350年―。先祖代々、座間の地に暮らしてきた。自身も同じように、生家を守って81年になる。鈴鹿明神社しめ縄奉納同志会の会長に就任したのは、今から2年前。会員自ら稲を育て、その藁を1日がかりで長さ6メートルのしめ縄に仕立てている。「五穀豊穣を願って奉納するしめ縄。やっぱり、手間はかかっても昔ながらのやり方で気持ちを込めたい」



 ○…思い返せば、住まいのある座間駅周辺も随分と様子が変わった。「当時は皆原地区には66軒しか家がなくて。駅名も『座間遊園駅』だった。一面、ほとんど畑だったよ」。幼少期はかくれんぼやコマまわしに夢中になった。それだけに、今の子どもたちの「遊び」を見ると、時代の流れを感じずにはいられない。「時とともに変わっていくのは当然で、悪いことではないと思う。ついていくのは大変だけれど」。そんな中でも、後世に伝えて生きたい伝統もある。しめ縄には、そんな希望も込めている。



 ○…現在は妻と2人暮らし。庭には、合鴨の「ガー子ちゃん」が住まう。「以前、合鴨農法をやっている知人から譲り受けて」。始めは鴨鍋にでもしようかと思っていたが、孫の「かわいそう」の一言でペットに昇格。今ではわが物顔で庭を行き来している。「すっかり情がわいちゃって。食べなくてよかったなと思う。でも、本当に良かったと思っているのはガー子本人かもね」と相好を崩す。



 ○…時代が流れ、地産の藁で作った手製のしめ縄を飾る寺社もかなり減ってきた。「時には、会長として人をまとめることが大変なこともあるけれど、仲間で協力して作り上げていくのはとても楽しい」。今年はより背の高い稲も植え、いつもより大きな「玉かざり」ができそうだ、と今からわくわくしている。刈った稲は、12月にしめ縄として編まれ、奉納される。長年行われてきた伝統を、また今年も継承する。

 

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