東日本大震災で全国的に防災への意識が高まっている。二次災害として注意されるのが火災だ。消防法では建物の点検・報告を義務付けており、その管理が一段と厳しい「特例認定」に、飲食店ビルでは鎌倉市内で唯一、大船駅前の一蝶ビルが認められている。
「特例認定」は、2001年に発生した新宿歌舞伎町雑居ビルの火災事故を受け、03年に施行された「防火対象物定期点検報告制度」によるもの。消防機関に申請して検査を受け、一定期間継続して法令を遵守している場合に認められる。認定されると、点検報告の義務が3年間免除される。
火災の危険性が高い飲食店ビルとして「特例認定」市内1号店となった一蝶ビル(大船1丁目)は、昨年11月に認定された。
3階建で、2つのテナントが入っている。各店舗に責任者を設け、避難通路や電気、吸殻、施錠、トイレの様子など、複数の項目を毎日チェックし、記録に残す。また月1回は、建物の梁や柱、壁などの構造確認をはじめ、階段や避難口、ストーブなどの火気設備などのチェックも行う。
ビルオーナーの(株)一蝶・矢島紀男社長は「消防管理を同じやるならしっかりやろうと思った。飲食店は、不特定多数の方を相手にするので、安全の確保が大事」と話す。同ビルを管理する(有)設備綜合管理・桑原卓三社長は「特例認定といっても、特別なことをする訳ではない。当たり前のことをしっかりやるだけ」と説明した。
認定にコストは掛からないが、日々のチェック作業などの手間が掛かる。そのためテナントの理解、従業員の協力が必要になる。同ビル2・3階の「せんざん」大船店・天野直樹店長は、「以前から継続してやってきた。今回の震災で、日々のチェックの大切さを痛感している」と協力する。
防火対象物定期点検報告制度(年1回)の対象建築物は、鎌倉市内で約110件あり、その内、「特例認定」を受けているのは25件と2割程度。
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