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茅ヶ崎・寒川 文化

公開日:2014.07.18

祭りへの情熱 夢を生業に
中里康則さん(茅ヶ崎神輿康(みこしやす))

  • 作業の時は自然に表情も引き締まる

  • 他県からも神輿修復の依頼は多い

 7月21日(祝)の浜降祭が目前に迫るこの時期に、ひときわ心躍らせて仕事に打ち込んでいる茅ヶ崎人がいる。市内で唯一となる神輿の製作や修復のほか、提灯作り等を行っている「茅ヶ崎 神輿康」(市内今宿)代表の中里康則さん(42)だ。



 今年も上赤羽根の八雲大神や中島の日枝神社、甘沼の八幡神社など、神輿に付く新たな桶型提灯は中里さんの手によるものだ。神輿の修復はこれまでに、市内では芹沢の腰掛神社や萩園の三島大神の修復などを行っている他、関東や東北の様々な神輿約40基の製作や修復も手掛けている。



きっかけは「自分の神輿を作りたい」



 高校卒業後に大工となり、独立も果たした中里さん。そこから神輿を生業とした会社を興したのは1997年、24歳の時。専門的な職人の下に弟子入りもせず、独学で起業したその原動力は少年時代からの強い思いだ。「家の隣が松尾大神で、5歳の時に出来た新しいお神輿を見たのがきっかけです。それ以来、神輿が好きになってしまいました。どこに惹かれたと言われてもちょっと表現できないんだけど、とにかく頭の中がお神輿と祭り一色になってしまいました」



 当初はおもちゃのブロックで制作したが満足できず、古い書物などを参考にしながら割り箸などでより精巧な作品を生み出していった。「以前は自分の神輿を作りたいって気持ちが強かったけど、今は好きなことでご飯が食べられるようになった幸せも実感しています」と笑顔を見せる。自宅隣にある工房の傍らには『夢に生き 夢に終るも 人生又たのし』という祖父の言葉が額に入れられ、大切に置かれている。



仕事は全身全霊で



 「お神輿は神様が乗る神聖なもの。提灯も含めて、全てが地域の宝でもあるので、大切に扱いながら全身全霊を込めて仕事に取り組んでいます」。提灯への文字入れを前に、手を合わせて一礼をする。穏やかな表情から一転、集中した面持ちで丁寧に作業を行っていく。「その地域の人に喜んでもらえるような仕事をしていきたいんです」。茅ヶ崎を代表する催事を前に気持ちを込めた作業が続く。

 

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