デフサッカーW杯の男子日本代表に選ばれた 中島 正行さん 菱沼在住 33歳
夢を心にピッチへ
○…聴覚障害者(ろう者)のサッカー「デフサッカー」のW杯2016男子日本代表に、3年ぶりに選ばれた。2005年から9年間務めた日本代表だが、3年前のデフリンピックで予選を突破できなかったことに責任を感じ、気持ちの整理をつけるまで2年かかった。「アジア全体が強くなり日本代表も良くなってきている。前回のW杯はベスト8だったので、今回はメダルを取って帰ってきたい」と心機一転、意気込みを見せた。
○…東京都豊島区出身。生まれつき聴覚に障害があった。Jリーグの開幕でサッカー人気が高まった小学5年生の時に、地元のクラブチームでデフサッカーを始め、高校3年時には全国ろう者体育大会で優勝。19歳の時に「本場のサッカーを味わいたい」と大学を中退し、ブラジルにサッカー留学した。「ブラジル人のサッカーに対する真剣さ、ハングリー精神の強さに衝撃を受けた」という。帰国後は都内の企業に勤めながら社会人リーグに所属。トレーニング環境の良さなどから2012年に茅ヶ崎に移り住み、14年にデフサッカーの元女子日本代表でもある奥さんと結婚。翌年、一児の父となった。
○…奥さんと生後5カ月の娘の3人暮らし。家庭では主夫として家事全般を担当する。娘が夜泣きをしていた頃は睡眠不足に悩まされ、トレーニングに支障をきたしたこともあったが、愛娘の成長に喜びを感じる日々という。「まだまだ未熟なパパですが」と照れ笑いを浮かべる。合宿や試合時の育児は奥さんにバトンタッチ。2人が忙しい時は両親が娘の面倒を見てくれるという。「サッカーを続けられるのは、家族と周囲の人たちの支えがあってこそ」と感謝を滲ませた。
○…サッカー一筋の人生に、いつしか目標ができた。「自分と同じろう者の子どもたちに夢や希望を与えたい。試合で活躍するだけでなく、色々なイベントに参加してデフサッカーを多くの人に知ってもらいたい」
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