「援農」で福祉就労に活路 進和学園と生産者でモデル構築
後継者不足新たな担い手に
市内の社会福祉法人進和学園と、在宅就業支援団体の(株)研進が、就労機会を求める知的障害者の新たな受け皿として、後継者不足に悩む地元農業に活路を見出そうとしている。「援農」と「福祉就労」を両立させるユニークなモデル作りを追った。
(株)研進は、知的障害者の福祉工場などを運営する進和学園の窓口会社。企業から同学園への授産事業を受注したり、施設で作った自主製品の販路を新規開拓したりと、学園利用者の就労の場を広げるため、学園と事業者との橋渡し役を担う。
同社が新たな就労機会として期待を寄せるのが「援農」だ。高齢化などによって人手不足に悩む地元農業者に対し、技能や工賃を得る機会を求める同学園の利用者を、労働力の担い手として紹介しようとするものだ。
進和学園では今年から、9人の利用者が市内2軒の生産農家で施設外就労を始めた。キュウリやナスなどを生産する上吉沢の横山農園もその一つ。園主の横山一郎さんは「ハウス栽培はコスト高で、人を雇えば人件費もかさむ。進和学園と協業できれば互いに利点があるし、他の生産者も活用できる農業モデルが構築できれば」と話す。
ただ、モデル作りは一朝一夕にはいかないようだ。横山さんは「農業は自然相手。作業は常に一定ではない。キュウリにはツルを伸ばすべき方向に固定する”仕立て”といった作業など、判断の難しいものある」と話す。
横山さんはもどかしさを感じる反面、利用者の懸命に働く姿に期待感を見せる。「少しずつ作業を覚え、生産の喜びも感じてくれている。こちらも作業の工程や分担を工夫していきたい。最終的にはプロとして任せられる人材に育って欲しい」と目を細める。利用者の一人も「作業は難しいが、(以前担当していた自動車部品の組立よりも)楽しい」と笑顔を見せる。
研進では2年前から、自主製品の販路として、地元の食品スーパー「しまむらストアー」の協力を得ている。数店舗にある販売コーナーでは、学園の利用者が横山さんと汗を流して作った生産物も販売され始めた。
「朝どれ」を売りにした野菜は、今ではスーパーの目玉の一つに。クッキーやラスクといった他の自主製品の売上も伸びるという相乗効果も生まれた。
研進の石井輝美さんは「生産者やスーパーとの連携で、それぞれに利益の生まれるような形ができつつある。農産物の加工など、付加価値もつけて利用者の工賃に反映していくことも考えていきたい」と、「援農」を活用した福祉的就労の底上げに期待を寄せている。
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