秦野 人物風土記
公開日:2011.11.12
「湘南竹の会」の会長を務める
川瀬 隆さん
並木町在住 72歳
竹細工の楽しさ伝えたい
○…竹細工の技術を守ろうと地域のイベントなどで知り合った5人で会を結成。3日に開催された市民の日で「湘南竹の会」として初めてブースを出店し、竹を使った工芸品、玩具などを作る体験講座を開いた。
○…東京都出身。空襲に遭い家族で父の実家がある秦野へ逃げた。父の知人が仕事で竹を探していた関係で、竹材の工場を開業。「長男だし後を継ぐのは自然の流れだった」と中学卒業後、定時制高校に通いながら手伝いを始めた。「自営業は時代のニーズに合ったものを作らないと生き残れない」と照明器具、垣根、すだれ、寿司巻きなど何でも作った。自転車のチェーンなど日用品を組合せ、手作業の何倍もの速さで竹を裁断する機械を自ら考案。常に先を読み、店を守ってきた。
○…昭和50年頃、竹製品業者で結成された前身の会に入会。同業の先輩のもとで学ぶ傍ら、市民向けに体験講座などを開いていた。「でも、時代の流れか私の後は入会者がいなくて。高齢化が進み、ついに2人になっちゃった」と振り返る。会の解散を決意したが、「”楽しみにしているから辞めないで”って声があってね。まだ世の中で必要とされるならば、と賛同してくれる人で集まった」といきさつを説明。会の仲間を「いたずら好きで好奇心旺盛なおじさん達が集まった。活動を広げるのが楽しみ」と嬉しそうに話す。
○…妻、息子夫婦、孫と5人で暮らすほか、横浜に住む長女夫婦の孫もよく遊びに来る。「孫といる時が何よりも幸せ。この前も、一緒に軽トラックでカブトムシを取りに行ったんだ」と目尻を下げる。妻は各イベントでの即売会や、約20年前に開店した店舗「竹のかわせ」で店に立つ。「色々と手伝ってくれて、妻の協力があってこそ成り立っている」と感謝を忘れない。今後については「依頼があれば学校や公民館、地域イベントなどで竹を使った楽しい体験講座を開きたいね」と笑った。
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