歴史探偵・高丸の「あお葉のこと葉」ファイル vol.8 「ばっちらげっこ」
ばっちらげっこ。一瞬、この地方独特のカエルの呼び名かと思った。
「昔は兄弟が多いから、ごはんどきはバッチラゲッコ。モタモタしてると食いっぱぐれんのよ」
少子化のためか、最近はあまり見かけないが、昔の家庭では日常の光景。そう、おかずの奪い合いのこと。「先を争って競争する」ことを多摩地方や神奈川県では「ばっちらげっこ」と言うのだそうだ。
調べてみると、山梨県では「ばっちらこう」。同じく、群馬県は「ばっちらこと」。長野県では、先を争うという意味で「ばっちらがる」。静岡県では電車の座席取りなど、独占するという時に「ばっち」「ばった」「ばっちらがう」を使う。ニュアンスは微妙に違うが、「ばっちら」だけで「争う」「奪う」という意味になることは間違いない。ちなみに、茨城県は「ばいさらー」栃木県は「ばいさりあう」…と、少し穏やかな感じになる。
後ろにくっつく「げっこ、こう、こと、がる、がう」は、複合動詞として使われる「〇〇合う」に該当する。並べてみると「げっこ」だけが、はっちゃけた印象を受ける。以前紹介した「おっぺす」のように、促音を入れて強調するこの地方独特の言い回しなのだろう。穏やかな北関東との気質の違いが表れていて、じつに興味深い。
このコロナ禍でおかずも個別に取り分けるようになった。家庭内のばっちらげっこも消滅していくのだろう。それに引き替え、災害が起きるたびに繰り広げられるスーパーやコンビニでの争奪戦。電池だ!マスクだ!消毒液だ!こんなバッチラは、もうケッコウだ!
(つづく)
さらに詳しい情報は、ブログ「歴史探偵・高丸のニッポン放浪ファイル」を御覧ください。
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