コラム「学校と社会をつなぎ直す」【18】 『二月の勝者』で描かれる子どもたち 桐蔭学園理事長 溝上慎一
小学6年生の子どもたちの受験生活を描く、『二月の勝者』というテレビ番組が放送されていた。桐蔭学園にも中等教育学校があり、このように受験勉強してきた子どもたちを選抜して受け入れる。学園の教員たちも結構見ているようだ。誇張はあるにせよ、ポイントはうまく描いているというのが教員の感想だ。
普通の子どもが好きなことをして遊ぶ中、勉強漬けの毎日である。ドラマの初回では、6年生から塾に通って受験勉強を始めるのでは遅いとされるこの業界の厳しさが描かれる。多くは4年生から塾に通い始めるが、それは今も昔も変わらない。私は、このような私学の受験競争が駄目だとは思っていない。小学生の時期は親の影響力が大きく、親の期待を背負って勉強する子どもの姿もリアルに描かれている。(父)親の子どもへの圧力が度を越えて問題になった後、意を決した子どもが最後に「無理矢理(やらされているわけ)ではない。本当は自分の力を試したい」と言う台詞は印象的だ。子どもなりの受験勉強への受け止め方がある。
スポーツや音楽など、幼少期から活動や練習をしないと一流の能力を身につけられない世界がある。私学受験はその学業版の選択肢の1つだ。一流の学校に合格しても、その後ものになるかは分からない。しかし、そこを突破しようと努力することで得られるものはある。子どもだと言って馬鹿にできないリアルな人生形成が垣間見える。
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