青葉区 コラム
公開日:2023.08.24
コラム「学校と社会をつなぎ直す」㉘
自ら考えた上でのチャットGPT
桐蔭学園理事長 溝上慎一
最近、生成系AI(人工知能)によるチャットGPTが教育界を震撼させている。東北大グループは調査を実施し、大学生の3割がすでにチャットGPTを利用していると報告している。多くの大学ではガイドラインを策定し、学生たちに良識ある利用を求めている。生成系AIとの共存をどのように教えるかが喫緊の課題となっている。
将棋の世界で、藤井聡太さんがAIを利用して棋力を上げていることは有名な話である。用い方によっては人の英智を飛躍的に発展させる可能性があることを示唆している。東北大の調査からもチャットGPTを利用した学生の9割は「チャットGPTの回答を書き換えたり書き足したりして自分のアイデアを生かした」と回答している。優等生的な回答ではあるが、このような利用の仕方は理想的である。
チャットGPTの助けを借り、自分では思い浮かばない考えや事実を交え、自身の論や主張の質を上げていくことはあっていいと思う。しかし、それにはまず、自分の頭で徹底的に考え、文章を書くことが前提である。藤井聡太さんも自分で徹底的に将棋を指し、戦略の善し悪しを考え抜いてきたからこそ、AIが助けとなっているはずである。チャットGPTが、人を考えることから遠ざけることなく、自分の頭で本気で考え、文章を作っていく新たな教育的機会になることを切に祈る。
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