青葉区 社会
公開日:2025.08.14
戦後80年 語り継ぐ記憶
火葬場の臭い、今も脳裏に
藤が丘在住 川端長夫さん
藤が丘在住の川端長夫さんは、岩手県釜石市出身の現在89歳。戦争が始まる直前は国民学校に通う小学生だった。
川端さんの住む釜石市には日本製鉄の製鉄所があり、1942年頃からの本土空襲では真っ先に攻撃対象となった。
ある日、敵機襲来のサイレンが鳴り、山に避難していた時のこと。うつ伏せ状態でB29が去るのを待っていると、頭のすぐそばで「ずしんっ」という音とともに焦げくさい臭いがした。恐る恐る顔をあげると30cmくらいの爆弾の破片が飛んできており、近くの枯れ葉が燃えていた。「子どもながらに一命をとりとめたんだと実感しました...」
またある時は、川端さんの母親が逃げ遅れ、押入れに避難。身を潜める母親の両側を機銃掃射の弾丸が貫通していったこともあったという。
そうした状況が続く中、近隣の広場には臨時の火葬場ができており、その周辺には独特な臭いが充満していた。「爆弾や機銃掃射の犠牲者が多くいたんだと思います。あの時の臭いは今でも忘れられません」
終戦後は、食糧難に悩まされた。「白米はもっての他で、食料調達に奔走する毎日でした」。川端さんの母方の実家は農家でりんごを送ってくれたが、届いたときには盗まれて5分の1くらいに減っていたという。
「沖縄から始まり、岩手まで戦火が及ぶとは思ってもいなかった。戦時中の記憶は色々あるが、こうしたことが二度と起きないよう切に願っています」
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