地域と語る「対談」 「横浜型リノベーション」を考える 制作・企画「斉藤たつや事務所」
今ある資源を時代に合うよう再構築し、上手に活用していく「リノベーション」。横浜市内でも多くのインフラや住宅などをメンテナンスし、次世代にうまく活用していこうという動きがある。区内でリフォームや建築業に携わる2人と横浜市会議員の斉藤たつやが、これからの時代に合うリノベーションについて意見を交わした。
斉藤―今回は、次世代に良質なインフラや民間住宅をどのように残していくのか、専門家のお二人と意見交換をします。横浜市には橋が1720橋、下水道管が約11800Km、歩道橋が330橋、トンネルが39カ所、舗装道路が約7600Km、水道管が約9100Km、市営住宅が約2万8000戸、学校が約500校、地区センターや地域ケアプラザ、庁舎などの一般公共建築物が897施設ございます。市では私が委員長を務める常任委員会で所管する財政局内の「公共施設・事業調整室」で検討を進めています。
平田―笹子トンネル天井板落下事故以降、自分たちの生活圏内にあるインフラは大丈夫なのかという不安の声を日本中で聞くようになりました。国土交通省の指導のもと、全国で目視による点検が始まっているようですが、数も多いですし、中々追いつかないというのが現状かもしれません。
古澤―民間と上手く連携して、点検作業をどんどん前へ進めていくべきですね。点検の質を落とさず、効率を高めていくためには、どうしても専門的知識や現場感を持ち合わせた専門家のスキルが必要になります。
総合メンテナンス
平田―そのような流れに先駆け、私や古澤さんをはじめ、建設業に携わる市内4社が集まり、「橋梁・トンネル調査機構」を立ち上げました。この初の取り組みは、それぞれの会社が有する建築士や設計士などの専門性を活かし、公共施設の耐震、経年による劣化、総合メンテナンスに幅広く対応していこうというものです。
斉藤―とても先駆的ですね。官民が上手く連携し、市民の安全・安心を第一に考えたメンテナンスが必要です。また、一般住宅や空き家活用の分野でリノベーションの必要性が叫ばれています。
総合アドバイス
古澤―横浜市でも中古住宅や空き家の増加が進んでいます。人口が減少へと向かうことを考えても、今ある既存の建物を上手に活用していくことが重要です。でも、中古住宅の良し悪しは素人には分かりにくく、敬遠する人も少なくない。しっかりポイントを押さえれば、費用面でも条件面でも良い買い物ができるのですが。何か良い手立てはないかと考え、物件の内見に一級建築士が同行するサービスを始めました。一緒に物件を見に行き、耐震や建物の状態を診断します。他にもマンションリフォームマネージャーやファイナンシャルプランナーの資格を有しているので、改修計画やローン計画についてもワンストップでアドバイスできます。
平田―今まであるようでなかった画期的なサービスですね。高齢化などとともに中古住宅の空き家率は増加傾向にあります。必要なメンテナンスをしっかりと施し、活用できる資源を上手に活用していく流れを横浜市から発信していければ良いですね。そのために我々民間企業に何ができるのか、しっかりと見極めていきたいと思います。
斉藤―公共施設のメンテナンス、民間住宅のリノベーション、それぞれにお2人のような専門家によるサポートが必要です。公共施設や民間住宅は、長寿命化、新築建替え、統合するなどの新たな発想が必要です。こうして官民が連携して取り組む「横浜型リノベーション」を全国に発信して、安全・安心の取り組みを進めていきたいと思います。
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