DVの加害者更生プログラムに取り組む 栗原 加代美さん 東本郷在住 73歳
寛大な心で変化を導く
○…「DVの被害者を守るだけでは、根本的な解決にならない。加害者を更生しなくては、新たな被害者が出てしまう」と訴える。加害者との対話を繰り返しながら、怒りを生み出さない実践的な方法を全国各地で伝えている。壊れてしまった家庭が修復し、幸せを取り戻すことを見ることが生きがいだという。加害者が変化し、被害者の傷が癒えていく。そんな瞬間を何度も見届けてきた。
○…皿を投げつける。机がひっくり返る。同居していた叔父は、母や祖母に暴力をふるった。怖くて家に帰れなかった子ども時代を過ごした。そんな原体験があったからなのか、「苦しむ人のために何かしたい」と結婚後、自宅でかもい聖書教会を立ち上げた。苦しみから解放され、心のよりどころとなる場を長年の間、運営してきた。
○…57歳の時に知人から「DVの被害者を助けられる場を作らないか」と誘われた。脳裏をよぎった母や叔母の恐れおののいた表情。答えは決まっていた。寄り添い続け、「もう一度、生きたい」と前を向く被害者たち。だが、たとえ、離婚してもストーカーとなる加害者もいた。「加害者を変えないと問題は根本から解決しない」。いつからか、加害者の更生に軸足を移すようになっていった。「加害者も必ず変われる」。そう信じている。
○…たまの休みには、映画や寄席を見る。仕事に何か生かせないかと、自身の伝え方を寄席から学ぶ。また、様々な人生観を映画から得ているという。好きな言葉を聞けば、”すべてのことが益になる”。「苦しみも悲しみも立派な花を咲かせる肥やしになる」と信じている。幼い頃の原体験があったからこそ、自身の進むべき道が見えた。「叔父にも感謝ですね」という寛大な心が今日も多くの人の道を照らしていく。
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