港北区医師会(鈴木悦朗会長)は9月25日、アマチュア無線を用いた「災害医療通報訓練」を実施した。発災により電話等の通信手段が不通になった場合を想定したもの。市内でも数少ない取組みだが、鈴木会長は「最悪の事態でも素早く正確な医療を提供できるように」と効果を口にする。
3.11教訓に
大規模な自然災害が発生した際、病院や診療所、薬局は診療可能な場合は”診療(開局)中”の黄色いのぼり旗を掲げ、処置にあたる。一方、事前に決められた医療関係者及び、自所での対応が困難な医師会員は2つの参集拠点に集結し、医療救護隊として地域防災拠点(小中学校)で活動する。区内の防災拠点は28カ所。鶴見川以北を管轄する参集拠点が慶応大学協生館、同以南を受け持つのが港北区医師会館だ。
参集拠点に人員が集結したら、本部からの指示で各員を各地域防災拠点に派遣。その後、トリアージなど現場からの情報を受け本部が搬送先等を決定する。このように、参集拠点をつなぎ役とした情報伝達が、災害医療において極めて重要な要素となる。
その際に鍵となるのが伝達手段だ。平時であればインターネットや電話の使用が考えられるが、こと災害時においてはリスクも存在する。実際、2011年の東日本大震災発生時には、電話やメールが不通となったという。その反省から注目されたのが”アマチュア無線”。「当時もアマチュア無線だけは通じたという。災害時に一番重要な情報が断絶されないように、最終手段として活用できる体制を整えたい」(鈴木会長)と新たな仕組みづくりに励み、今年度から本格的に導入された。
港北医療従事者無線クラブでは「いざという時に慌てないよう、操作に慣れるように」と定期的に訓練を実施。同日に行われた訓練では、11の地域防災拠点からの患者情報の報告や本部からの搬送先の指示がきちんと伝達されるかを確認した。「伝言ゲームみたいなものだが、発災時は焦りも生まれるはず。そうした状況でも素早く正確に情報伝達できるように一丸となっていきたい」と鈴木会長は話す。
連携が課題
災害医療への無線活用は、市内では青葉区が精力的に推奨しているが、その他では本格的な運用は始まっていないのが現状だ。大きな障壁となるのがアマチュア無線の操作。港北区では有資格者の鈴木会長を中心に、クラブ活動などを通し技術を磨いている。
関係機関との連携体制も課題に残る。区では、横浜市アマチュア無線非常通信協力会の会員も災害医療に携わっているが、医療情報には難解な専門用語もつきまとう。「医療のプロと無線のプロ。限られた人数で最大限の効果を上げるための体制づくりが必要になってくる」と鈴木会長。また、搬送先となる大病院などとの連絡には、現状では無線を使用する体制が整っていない。鈴木会長は「盤石な連携体制を築くことが不可欠。一人でも多くの命を守れるように努めたい」と決意を口にした。
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