藤沢 経済
公開日:2025.12.26
お買い物編Vol・3 ママ記者発信!藤沢の○○事情
スーパーはないと不便?
旬の野菜で紡ぐ近所の輪
前回、前々回では、スーパーマーケットやショッピングセンターについて紹介してきたが、その多くは市南部に集中している。市北部は大型スーパーは数少なく、特に御所見地区は昨年、「スーパーマーケットやまか」が米国発の会員制大型スーパーの商品を扱う店舗をオープンするまでなかった。
一見不便に感じる同地区だが、市内でも農業が盛んな地域ならではの買い物方法がある。農家による野菜直売所だ。同地区を車で走っていると、コインロッカーに入れられた野菜や卵を目にする。そこでは、キャベツやレタスが1玉100円で売られ、どこよりも新鮮な野菜をスーパーより安価な価格で提供。朝から近隣住民が車に乗り、入れ替わり訪れていた。
菖蒲沢に無人販売所を設置している亀井康夫さんによると、採れた野菜を1日に3〜4度補充し、毎日全て売り切れているという。
また、農家の中には知り合い向けに安く野菜を販売する人もおり、農家同士の物々交換も盛んに行われている。自宅で採れた大根やネギなどの野菜、田舎から送られてきたリンゴなどのフルーツ、米農家では餅米で作った赤飯やちまきを交換。さらには近所で集まり、年に一度、味噌を手づくりする人たちもいる。
実は記者も祖母が同地区にいるため、その恩恵を預かっている一人。我が家の食卓には時折、御所見のどこからか流れついた野菜がお目見えし、朝は御所見産味噌で味噌汁を作っている。
もちろん全世帯が物々交換をしているわけでもなく、肉や魚、海藻はやはりスーパー出ないと手に入りにくいだろう。しかし、スーパーでは得られないご近所付き合いが、御所見地区の住民を支えているのも事実だ。
昨今では、防災対策の面からもご近所付き合いの重要性が注目されている。今月初旬に青森県で震度6強を観測するなど、地震大国日本では日常的な防災対策は不可欠だ。
とはいえ、マンションに住む記者はすれ違った住民とあいさつしたり、同じくらいの年頃の子どもがいる親子とちょっとした会話を交わしたりする程度の付き合いしかできていないのが現実。
スーパーがなくとも、御所見地区の人から学べることは、まだたくさんありそうだ。 完
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