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「陸前高田」を世界に 区内で塾営む小谷夫妻

社会

掲載号:2016年3月31日号

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英幸さん(左)と奈奈さん(右)
英幸さん(左)と奈奈さん(右)

 約2年前から中川で塾と英会話教室を営む小谷英幸さん(53)、奈奈さん(46)夫妻は自身の経験を生かし、被災地企業の産品を海外輸出する支援を続ける。

 震災当時、英幸さんは外資系企業の日本法人役員。奈奈さんは都内の広報代理店に勤めていた。2012年9月頃、震災で壊滅的になった陸前高田のホテルを再建するというニュースを見た英幸さん。そこで、知人のドイツ人画家が描いた「万物は流転する」という意味の絵を、同ホテルに復興の願いを込めて寄贈したことがきっかけで同地とつながりができた。「そこには確かに人の営みがあったのに、いまは更地でしかない」。メディアの情報でしか触れてこなかった被災地の現状を目の当たりにし、英幸さんはただ佇むことしかできなかった。「無力感を感じました。何かできないものかと」

 二人は決意し、海外経験や英語を生かして、陸前高田市の企業支援に携わるコンサルタント会社、ブリコ・インターナショナル(株)(川崎市)を同年12月に立ち上げた。今ではアメリカや香港、フランスなどの会社と陸前高田の作り手、約10社の商談を仲介している。

 そのうちの1つ、酔仙酒造(岩手県陸前高田市)は震災で7人の従業員が亡くなり、敷地全体が大津波にのまれ、施設が壊滅した。醸造できない状況が続き、震災前の販路が閉ざされた中で、小谷夫妻が奔走した。

 「海外には原発のイメージがあり、被災企業というだけで『NoNo』と言われることもあった」と英幸さん。しかし、米国オレゴン州の「Sake One」社に同酒造の話をすると、熱意が伝わり、交渉に発展した。2014年8月から現在までに純米酒「KIBO(希望)」約4万本を全米に出荷。今年も同様の出荷量を見込む。

 商談に同席した同酒造の和田浩之販売課長(51)は、「自分たちだけでは海外販路を開拓するのは難しい。かなり助けてもらっています」と感謝を口にする。奈奈さんは「経営は苦しいが、塾を運営しながらなんとかやりくりしています」とブリコ社の現状について話す。しかし、それでも続けるのは、「被災地の方はすごくつらい思いをされている。我々の意思ではじめたことですから、途中で勝手に投げ出すわけにはいかない。これからも続けていきます」と英幸さんは力を込める。

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