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公開日:2026.03.12

横浜市
資源循環、産官学で
実践的取り組み広がる

  • 自社の取り組みを紹介するシンクピア・ジャパンの作山郁さん(左)

    自社の取り組みを紹介するシンクピア・ジャパンの作山郁さん(左)

  • あいさつをする春秋商事の甲斐代表取締役

    あいさつをする春秋商事の甲斐代表取締役

  • プラ製の鉢から柄を作った熊野筆

    プラ製の鉢から柄を作った熊野筆

  • 筆を使って感謝の思いを書く児童ら

    筆を使って感謝の思いを書く児童ら

  • 資源循環、産官学で (写真5)

 「脱炭素社会」の実現を目指す横浜市では、リサイクルや再資源化を前提とした「資源循環(サーキュラーエコノミー)」を推進するため、産官学の連携によるさまざまな取り組みが行われている。市内で開催される「GREEN×EXPO 2027」の開幕を1年後に控え、取り組みはより実践的なものへと加速度を増している。

環境と経済成長の両立

 2月27日には横浜市役所アトリウムで「資源循環ビジネスネットワーキング2026」が開催された。同イベントは、市資源循環局と市内の廃棄物処理業者7社で2024年に発足した「横浜市資源循環推進プラットフォーム(YRC)」の主催で、YRCや国、資源循環に取り組む企業による事例紹介などが行われた。イベントは定員150人のところ200人が訪れ、その関心の高さをうかがわせた。冒頭には山中竹春市長があいさつし、「資源循環は横浜市が最も力を入れなければいけない事業のうちの1つ」と語り、「GREEN×EXPO 2027」に向け、循環型経済をどのように推進していくかの重要性を説いた。

 実例を交えたパネルディスカッションでは、都筑区からSINKPIA・JAPAN(シンクピア・ジャパン)株式会社(本社・北山田/松岡清次代表取締役)が登壇。業務用の生ごみをほぼ完全に分解してしまう同社の製品を紹介した。松岡亮介副社長によると「製品はサイズがコンパクトなので保育園や病院、介護施設にも導入が可能。生ごみを施設内で処理でき、残渣(ざんさ)のとりだしも必要ないため、ごみの移動や焼却にかかるコストも必要ない」という。第1号機の販売から今年でちょうど20年を迎える同社。「GREEN×EXPO 2027」への出展も決まっており、ごみの減量や脱炭素社会の実現で大きな貢献が期待されている。

 YRCの参画企業で、株式会社春秋商事(本社・川向町)の甲斐陸二郎代表取締役は「企業や自治体とのより良い連携で、環境と経済成長の両立を」と締めくくった。

新しい命宿る体験

 学校の授業を通して、資源循環を子どもたちが体感する試みも行われている。

 牛久保小学校(金子由美校長)では4年2組の児童が、授業で使用して役目を終えたプラスチック製の鉢を再利用し、新たな製品として活用できることを学んだ。

 同校では4年生が総合的な学習の時間の中でSDGsについて学んでおり、昨年10月にごみ焼却施設の都筑工場を見学。また工場の職員に出前授業を行ってもらい理解を深めた。授業の中で児童らは「モノをごみとして捨てると、焼却処分にもコストがかかる」ことを知り、「もったいない」との思いから、自分たちにできる事がないかを模索していた。

 ちょうどその頃、PHI株式会社(繁田知延CEO)から、実践的な環境教育の一環として、より価値のあるものにリサイクルする「アップサイクル」で、プラスチック製品を新たな製品に生まれ変わらせる取組を紹介され、実践することになった。

 外資系の消費財メーカーに勤め、小中学校での出前授業などで環境教育に携わっていた繁田さんは、コンテンツ探しや教え方など、SDGsなどをテーマに授業を行う教員らの困難さを痛感していたという。「持続可能な社会の実現のためには小学校から環境教育を広めることが必要」との思いから、繁田さんは社内起業し、アップサイクルなどを通した環境教育への関わりを続けている。

 プラスチックの鉢は入学時に購入し、学年ごとにアサガオやヘチマなどを育てるが、4年生を最後に使うことはほぼなくなるため、繁田さんは児童らとこの鉢を再利用し、伝統工芸品として知られる熊野筆に生まれ変わらせる取り組みを提案。昨年12月から環境教育として取り組んでいた。

 児童らは自分たちの鉢だけでなく、校内で回収を呼び掛けた。集まった鉢は水洗いし、繁田さんを通して加工を委託。3月3日、自分たちの集めた鉢を使って作られた熊野筆を手にした。この日は授業の中で、熊野筆の柄と同じ藍色の染料を付け、大切な人への感謝の思いなどを書いた。

 一連の活動を通し、児童らからは「今まで捨てていたものに新しい命が宿り、違う製品になることを初めて知った」「同様の活動が他の学校にも広がっていけば良いなと思う」「不要品が他にもさまざまなものに変わるかもしれないのでもっと知りたい」などの感想が寄せられた。

 今回制作された筆は『GREEN×EXPO 2027』で行われるワークショップなどでも使用される予定。繁田さんは児童らに「筆は皆が地球を守ってくれた証。エコな未来のリーダーになって」と呼び掛けた。

プラ資源 収集増も分別率に課題 ルール変更から1年

 児童たちが体感したプラスチックの資源循環。進んではいるものの、現状はまだ課題も多い。

 横浜市は昨年4月からプラスチックの分別ルールを全市で変更。一番長い辺が50cm未満の「プラスチックのみでできているもの」もプラ資源として出せるようにした。市の調査によると、昨年4月から12月のプラ資源の収集量は1カ月4580トンとなり、基準年度とした22年と比べて約5%増加するなど一定の成果が出ている。

 しかし、分別率は60%程度で、分別率90%以上の缶やペットボトルと比べると低く、間違った分別も多いという。

 市が各地の集積場所で行った調査では、菓子袋や納豆パック・トレー、チューブなどプラ資源として出せる容器包装の多くが「燃やすごみ」に混入している状況があった。また、分別が正しくても容器の中に固形物などが残っているとプラ資源として扱えなくなるため、「捨てる前に軽くすすいだり、使い切る対応を」と呼びかけている。

 市は30年度までに燃やすごみに含まれるプラスチックの量を22年度比で市民1人あたり5・3kg削減することを目指す。市は集積場所でのポスター掲示や周辺のポスティングなどで今後も周知を進めていく。

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