「アートアワードトーキョー」で審査員賞を受賞した武蔵野美術大学大学院1年生 菅原有生(ゆう)さん 橋戸出身 23歳
日本画で切り開く道
○…全国の美大生の優れた卒業制作が集う展示会で、木の根をテーマにした作品「根の風景」を出展し、審査員賞を獲得した。画材には通常アクセントで使われるという「岩絵の具」を多用し、力強いタッチで描く作品が特徴的だ。現代美術が多い展示作品の中、日本画での出展。「ジャンルの違う人が見て評価してくれるのが楽しい。画家としての今後の活動につながっていけば」とさらに高みを目指す。
○…小学生の頃から「絵を描くことでコミュニケーションをとっていた」と言うほど絵が好きだった。「話すのは苦手なので、絵は自分を表現する手段の一つ」。漫然と落書きするのではなく、時にはイラストタッチで、時には写実的に描き分けるなど、「人とは違うこと」を目指す姿勢は当時から培われてきた。通っていた絵画教室も絵画好きを加速させた。「先生が考古学者だったので『はにわ』とか『土偶』とか毎回変わったテーマで楽しかったな」と笑みをこぼす。
○…制作時間の半分をデッサンに費やす。今回の受賞作「根の風景」では自然が作り出す線の美しさに魅かれ、自分で草を掘り起こし、じっくりと観察。根が作り出す「地中の岩石をものともせず突き進む力強い線」を表現した。2010年には瀬谷の自然を描いた「くさはらI」が、神奈川県美術展で大賞を獲得。この時も上瀬谷の野原で、スケッチを幾日も重ねた。「通りかかる人が『何描いてるの?』って話かけてくれる。そんな瀬谷の温かい空気も作品に取り込めた」と話す。
○…尊敬するのは、大学で師事する内田あぐり教授。「女性が作品を制作し発表することが難しかった時代から表現し続けている先生のように、私もなりたい」。今後は「日本の何気ない日常生活を絵に落とし込み、外国の人に見てもらいたい」と2年後の大学院の卒業と、画家としての独り立ちを控え、目は世界に向いている。
|
|
|
|
|
|