横浜日独協会の初代会長 早瀬 勇(いさむ)さん 上倉田町在住 75歳
経験が語る「日独の魅力」
○…音楽会などのイベントや講演会を通じて、ドイツと横浜市の交流を図る「横浜日独協会」の初代会長を務める。ドイツと日本の関わりは古く、横浜開港の2年後から。今年で日独修好150周年。日本の日独協会としては、59団体目だ。同会発足前は、石川日独協会の会長を務めていた。ドイツとは、海外赴任辞令が出た29歳の時から関わっている。
○…勤務していた外国為替専門銀行「東京銀行(現・三菱東京UFJ)」の派遣語学留学生としてドイツに渡った。その時初めてドイツで生活をして、自由や自己責任、判断力がビジネスの面だけでなく、生活や教育の面でも重視されていることを強く感じた。「日本はもっと国際化しなくてはダメだ」。振り返ると、当時のその思いが、ドイツと関わり続ける人生へつながっていった。
○…海外勤務を繰り返し、海外での生活は合計で16〜7年。そこで「必ず」と決めていたことは、外国の駐在先へ家族を全員連れて行くこと。子どもを幼少期から海外で生活させたことで、教育は混乱し、子どもや妻に辛い思いをさせたという。子どもが泣きながら学校から帰ってくることも度々あった。だが、「生活や教育の基盤は、家庭にある」と家族そろっての生活にこだわり続けた。「本当に、辛いこともあったけれど、ムダなことなんて一つもなかったわね」。取材中にかけられた妻からの何気ない一言に、頬が緩んだ。
○…退職後、石川県の金沢経済大学(現・金沢星稜大学)へ国際金融の教授として招かれ、学長まで務めた。そこで驚いたのは、老舗料亭での食文化。日本の自宅でもヨーロッパの物に囲まれて生活をしていたため、日本の古き良き文化に感動。漆器の輪島塗を目にして、良いものには国境がないのだと実感した。「文化、教育、生活、ビジネス。今までの経験を全て生かして、日独交流を深めていきたい」。新たな目標に目を輝かせた。
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4月18日