4月1日付で戸塚消防署長に就任した 岸 信行さん 泉区在住 57歳
人材育成で「命大事」に
○…区民28万人の「安全・安心」を守る戸塚消防署の署長にこの春就任。前任は同じ区内にある消防訓練センターの管理研究課長で、着任時のあいさつは「人材育成」を真っ先に挙げた。全国的に火災件数が減少し、消防隊員の経験値が不足している現状だからこそ年長者からの知識の継承が急務。「指導しやすく風通しの良い職場づくりを」と意欲を燃やす。
○…保土ケ谷区出身。小学校、中学校と出会った2人の恩師の影響から一時は教師を志すも、大卒後、改めて将来を考えた際に消防職員だった叔父の姿が思い浮かんだ。「身近な存在でいながら人を助ける仕事がしたかった」。以来消防職員として果敢に任務に就いてきたが、転機となったのは東日本大震災。応援派遣された被災地で、行方不明だった職員が遺体となり見つかった。ちょうど自身と同じ年代で、同じ年頃の娘を持つ人物だったことから「厳しい現実を改めて実感。消防職員であっても命が大事で、無事に任務に戻り、家に帰れることこそが一番と気づかされた」。
○…訓練センター在籍時にはVR(コンピュータによる仮想現実空間)を活用した独自の訓練システムを考案。東京大学や民間企業などに自ら話を持ち掛け、4年かけて実現へ。今年の秋には運用開始の見込みで、「経験値を補える全国初の取り組み。横浜市だけではなく全国規模で広がっていくのでは」と長いキャリアの中でも一番の手ごたえを感じている。
○…元来子ども好きな性格、学生時代に打ち込んだ剣道では子どもに指導するのが好きだった。現在は消防車に手を振る子どもたちを署長室から眺めるのがなによりの癒やし。「謙虚にしておごらず、身近な存在として区民に親しまれれば」とやさしくほほ笑んだ。
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