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戸塚区・泉区 人物風土記

公開日:2025.08.28

ドクターヘリの普及を進める、認定NPO法人救急ヘリ病院ネットワークの会長を務める
篠田 伸夫さん
品濃町在住 82歳

気骨の人の挑戦 続く

 ○…救急現場に医療機器を備えたヘリコプターに同乗した医療チームが急行し、初期治療を施すことで救命率の向上をめざす「ドクターヘリ」。テレビドラマ「コード・ブルー」を記憶されている人も多いだろう。この救急医療システムの普及促進を目的に1999年に発足した、日本唯一のシンクタンクでもある同会。立ち上げから関わり、理事長なども歴任してきた。「47都道府県57機のドクターヘリの導入に汗をかいてきた」。穏やかながら熱い。

 ○…京都大学卒業後、自治省に入省。神奈川県庁を皮切りに、数々の地方行政に携わり、岐阜県副知事を務めたことも。自身の公務に向かう指針となった最初の出来事は青森県で「コミュニティーの再生」を県政の長期計画に盛り込んだこと。「父は出稼ぎ、母も仕事、家には祖父母と子ども。地域崩壊の危機を感じた」。次は消防庁で救急救助室長に就いたとき。救急隊員が搬送中に応急手当ができるよう法律改正に全身全霊を傾けた。「霞が関の論理ではなく、住民目線で仕事をしてきた」と顧みる。

 ○…鳥取県出身。県庁の役人だった父親は、1952年の「鳥取大火」の際、街の再興に命がけで臨んだ。後ろ姿を目にし、「公のために生きよう」と決めた。10年以上前から東戸塚駅近くのマンションに妻と居住。まちづくりに熱心に取り組む。「多くの人に利益にかなう行動をしてきた。ずっと同じことをしているね」とほほ笑む。

 ○…ドクターヘリ導入の課題の一つ、費用面は同会の働きかけなどにより、特別交付税の活用がされ、着実に進んだ。次は法的に日中にしか飛ばすことができない縛り。「当然夜間も傷病者は発生する。実現に向けた研究を活性化したい」。気骨の人の挑戦は続く。

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