9月29日に本郷台駅前で行われる「さかえオープンカフェ」に出演するオルガニスト KANKAWAさん 区内在住
心の叫びを奏でるジャズメン
○…『大人が楽しみ、憩う場を』と、昨年栄区が初開催した「さかえオープンカフェ」。そのステージで熱いソウル・ジャズを披露し、ジャズファンのみならず、普段ジャズを聴く機会のない観客をも圧倒した。「客が良かった。みんな熱かった」今年はサプライズも用意し、昨年を上回るステージをみせる。
○…2歳からピアノを始め、ビッグバンドに所属していた19歳の時、ジャズ・オルガン奏者ジミー・スミスのレコードが運命を変えた。「このために生まれてきたと思った」レコードの裏に記された住所などを頼りに迷うことなく渡米、師事した。そこで教えられたのは、人種差別に対する反逆の音楽であるジャズや、差別の苦しみを神と分かち合う楽器であった「ハモンドオルガン」に対する姿勢。「初めは理解できなかった」というこれらの精神論も、現地で「イエロー」と言われ、差別を肌で感じたことで理解へと変わった。「ジャズを聴きに来る人は何かしら悩みを抱え、いつか良くなりたいと思っている。そういう人を幸せにしたい」
○…テレビ番組「11PM」のオルガン奏者としてデビュー後、35枚のアルバムを発表、国内外のツアーでは世界のトップミュージシャンと共演する。それでも理想の音が出せるのは「年に数回、10小節くらいほんの一瞬。身体が浮いた感じがして、死んでもいいと思う」。その音を、その感覚を、今日も追い続けている。
○…知人から誘いを受け、栄区に住んで12年。「食べるのが好きで近所の飲食店は行き尽くした」と笑う。生まれは大阪だが、帰国後横浜に住んだのは「日本で一番ジャズを大切にしていたから」。10月には市内で開かれる「横濱ジャズプロムナード」に出演、年末にはアルバムのレコーディングに入る。「久しぶりの真剣勝負。ジャズを聴いたことがない人もピュアになれるような作品にしたい」神の楽器を魂で奏で、人々の苦悩を解き放っていく。