11月18日まで開催中の「栄区民芸術祭」を主催する栄区文化協会の会長を務める 風間聰彦(としひこ)さん 桂台南在住 78歳
「行かないと、もったいない」
○…今年5月、2150人が所属する栄区文化協会の5代目会長に就任。現在行われている同協会最大の催し「栄区民芸術祭」のために奔走している。15年前の所属初年から企画部長や広報を担当し、10年前からは理事に。「出ずっぱりだよ」と苦笑するが、歩くのが好きなこともあり、「トレーニングにはいい塩梅」と活動を楽しんでいる。
○…石などに印を彫る中国の芸術文化「篆刻」を始めたのは仕事の一線を退いてから。現役のころは国内大手メーカーの海外法人立ち上げに携わり、たびたびヨーロッパに駐在していたが、「アジアは手薄だった」と感じたことがきっかけだった。美術品として興味があった篆刻を学ぼうと、地区センターで開かれていた篆刻教室に参加すると、没頭した。小さな道具だけででき、費用もかからず、場所も取らない。音も出さず、一人で黙々と楽しめる。だからこそ、「人を誘う時は『ハマらないようにしてください』と言っている」と笑う。作品を同窓会で仲間にプレゼントすることもしばしば。贈った篆刻が年賀状などに押されてくることもある。「自分の子どもに会うみたいな気分。そういうのが楽しい」
○…会長の任期は1期2年。「協会を引っ張っていける後任者を見つけ、幹部を育てることが私の仕事」と話す。毎年同じ催しを行う中で会員に呼びかけるのは、「分かりやすく、面白く、芸の精髄をしっかりと伝えるための演出の工夫」。来場者の増加がその第一歩と考え、積極的に各会場を巡ることを提唱、自らも率先して行っている。しかし、顔を出せない会場が一つ。「囲碁だけは分からない。任期中に学びたいものだな」と知人に指導を頼む予定だ。
○…創作や教養、音楽、芸能とさまざまな分野の催しが連日区内で行われている。驚き、癒され、心を揺さぶられることも多い。「必ず得るものがある。行かないと、もったいない」文化協会の増強に全力を注ぐ。