岩手県大船渡市で被災者などの支援に取り組む 石井 優太さん 長沼町出身 37歳
新たな生活へ共に歩む
○…宮城県名取市に本部を置き、東日本大震災における被災者らへの支援活動を行っている公益財団法人共生地域創造財団。2012年7月から同財団岩手事務局(大船渡市)に所属し、支援活動に励む。
○…長沼町出身で豊田小学校、飯島中学校で学ぶ。発災時はフリーランスのプログラマーとして東京都内で勤務。震災に直面し「千年に一度とも言われる災害。身動きがとれる状況だからこそ今動くべき」と11年5月に個人ボランティアとして初めて被災地を訪れた。がれきの撤去などを行ったが「1、2回来ただけではしょうがないと感じた」ときっぱり。その後も都内で働きながら休日を利用して被災地へ通う生活を1年ほど続け、翌年7月には大船渡へ移住した。
○…高校生の時、親が昔弾いていたギターを自宅で見つけてから音楽に取り組む。大学ではサークルに参加し、現在もバンドを組んで演奏。「音楽で世界が広がる。友人とのつながりから、アメリカへ演奏に行ったときは盛り上がりましたね」と思い出を語る。被災地の小規模な仮設住宅では自身がコントラバス、後輩がギターでゲリラライブを実施。「『今までこんなことなかったよ』と言って喜んでくれた」と、特技を生かして被災地に貢献している。
○…当初は主に避難所に入れず被災した自宅で生活する「在宅被災者」が支援対象。行政でもその状態の把握が難しく、大船渡市から委託を受けて津波浸水域に建つ住居を全戸訪問して状況を調査。「発災から半年以上が経過しても、物資が届いていないという人もいた」と話し、必要な世帯には物資の提供や見守りなどを通じて生活再建に向けた支援を続けてきた。昨年からは仮設住宅団地の撤去・集約化が進められ、撤去予定の団地に住む人への対応も担う。「住んでいる方々が順調に新しい生活に移れるかどうか」。次の生活に向けて踏み出す被災者と共に歩んでいく。