金沢区・磯子区 コラム
公開日:2014.09.25
連載
かねさわ地名抄
第36回「高舟台」文・NPO法人横濱金澤シティガイド協会
高舟台1、2丁目は大道1丁目の北側から釜利谷町に連なる山林を造成してできた新しい町で、1980(昭和55)年7月の住居表示施行にともなって釜利谷町、六浦町の一部から新設されました。町名は学校名に使われていた「高舟台」が採用されました。
徳川家康が1592(天正20)年、六浦地方で百石の土地を瀬戸神社の御神領と定めました。そのときの土地台帳に、『高むね』という地名が残っています。
中田、下田、下畑など田畑の収穫率によって土地の等級を「上、中、下」と示した台帳に、6人の農民がここで田畑を耕作して瀬戸神社に年貢を納めていたことが示されています。ほかの古文書には「高ぶね」「高骨」など書いたものもあります。耕作者のひとりに船頭とある人物は、六浦港で海運業を営んでいた半農半漁の農民ではなかったと思われます。
高舟台はほとんど新しい住宅団地となっていますが、町の境目、白山道奥公園からウッドパーク金沢文庫にかけての丘陵一帯には「釜利谷やぐら遺跡」が発掘され、中世の遺構遺跡が発見されました。
鎌倉古道のひとつ、白山道の尾根道が3筋みられますが、部分的に、凝灰岩の岩盤が刻み込まれた低い段が連続しているところがあります。中腹から、鎌倉時代に創建された東光寺の歴代住職の墓9基と、武将畠山重忠の墓所と伝承される供養塔など中世の墓、やぐら9基が発見されました。またやぐら群からは灯明皿、かわらけ、大甕、供養塚周辺から五輪塔、水鉢が出土しています。
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