季節の花【3】 春の妖精「ニリンソウ」 一年の大半を寝て暮らす 日本自然保護協会自然観察指導員金子昇(富岡西在住)
「世の中に寝るほど楽しいことはない。浮世の馬鹿は起きて働く」――ニリンソウ(二輪草)をはじめアマナ・カタクリ等、早春の草花たちは、この哲学を実践しています。また、学生時代に口にしたデカンショウ節「…後の半年は寝て暮らす、ヨーイヨーイデッカンショウ」の歌詞にもよく似ています。
早春に咲くニリンソウは、明るい落葉広葉樹林の下に群落し、周りの樹々が葉を広げる前に花を咲かせ、実と種をつけます。そして樹木が葉をいっぱいに広げるころには、地上部は枯れ、もう休眠に入っています。このような植物を「スプリング・エフェメラル」(春の儚(はかな)い命または春の妖精)といいます。
北国では冬が長く厳しかった分、暖かくなると爆発的に多様な植物が芽吹いてきます。林内に陽(ひ)がたっぷり差し込む落葉広葉樹林では、短い期間に葉を広げ、栄養を地下に貯え、次の年の準備をして休眠します。
名前の如く1本の茎には2本の花茎に2個の花を普通つけます。似た花にイチリンソウがありますが、ニリンソウは花茎の基部の3枚の葉(総苞葉)に柄があり、イチリンソウには柄がありません。また、ニリンソウは区内金沢自然公園のしだの谷と称名寺で見られますが、イチリンソウは区内には生育していません。
ニリンソウは山菜として食用にしますが、葉は猛毒を持つトリカブトによく似ているので要注意です。ニリンソウは茎の切口が円形で緑色、トリカブトの茎は三日月形でピンク色をしています。
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