6月からNPO法人横濱金澤シティガイド協会の理事長を務める 村尾 篤彦さん 東朝比奈在住 72歳
昔を偲び、現風景を愛でる
○…「『濡れ落ち葉』にはなりたくなかった」。定年を間近に控え、そんな思いを抱えていた頃、たまたまシティガイド養成講座の募集を目にした。「金沢八景ってどこにあるんだろうという疑問が解けました」。2010年から会員になり、広報やホームページ制作など、協会の裏方仕事を務めてきた。「ガイドをするために入ったけど、裏方も誰かがやらなきゃいけないこと」と穏やかに話す。100人を超える大所帯を束ねつつ、協会の理想の姿を模索する。
○…現役時代は仕事一筋。鉄鋼メーカーで鉄のサビを防ぐ研究に従事した。「防ぐというよりも、いかに仲良く付き合うか」とその極意を熱く語る。1つのことをじっくり考え、突き詰めてしまう研究者気質。「ガイドも器用にこなすのは苦手。いろんな話題を盛り込むことはできないんです」と苦笑いする。
○…「実は、歴史には全然興味なかった」と話す。足りない知識を補うため、ガイド前は分厚いガイドマニュアルを読み込み勉強した。それでも「明るい太陽の下を歩くと、クサクサしたことも忘れちゃう」と心から会を楽しんでいる様子。人と人を結びつけ、時には10Kmほど歩くこともあるガイド業務を「足腰も鍛えられるし、認知症の防止にもなる。我ながら良い趣味だと思う」と評す。
○…八景島に初日の出を見に行く道すがら。「平潟湾のプロムナードを歩くと、黒々とした野島が見える。昔が偲ばれて好きなんです」。金沢八景の「野島夕照」が今の風景と重なる。「金沢区は日本トップクラスの住みやすさ。悪いところがない」と誇らしげに話す。土地区画整理事業が進む金沢八景に現事務所を構える同協会。昨年12月には中期3カ年計画を策定した。「3年後は丁度、事務所移転の頃。環境の変化と共に、会の将来を考える時期だと思う」。変わりゆく街と変わらない風景――どちらも愛する金沢に違いはない。
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