金沢区・磯子区 社会
公開日:2025.08.14
台湾出身戦没者を追悼
磯子 真照寺に慰霊碑
戦後80年の節目に合わせ、台湾出身戦没者の慰霊碑が磯子区磯子の真照寺に建立された。第二次世界大戦時には、約3万3千人の台湾出身者が日本軍として命を落としたと言われている。同寺の水谷栄寛住職は「かつて日本兵として戦ったことを知らない人も多い。縁あって作ることができたので、ぜひ多くの人にお参りしてほしい」と呼び掛ける。
「どこか参拝しやすい所に慰霊碑を作れないか」。昨年12月、台湾出身の日本兵だった呉正男さん=中区=から水谷住職へ相談があった。国内には沖縄県と東京都・奥多摩の2カ所に台湾出身戦没者の慰霊碑があり、呉さんは慰霊のために毎年奥多摩へ通っていた。しかし、慰霊碑があるのは山奥。年々通うことが難しくなり、参拝者の減少も危惧して新たな碑の設置を望む中、同寺にたどり着いた。
同寺では相談を受ける少し前に、境内にあった桜の木を伐採。敷地が空いていたこともあり、設置場所の提供を申し出た。相談を受けてから奥多摩の慰霊碑に足を運んだという水谷住職は「山道で本当に大変な場所。多くの台湾出身者が日本軍として戦った歴史を、埋もれさせてはいけないと思った」と話す。
クラウドファンディングなどで集めた資金を元に石碑が完成し、7月25日に慰霊碑の開眼・除幕式が開かれた。集まった関係者や参列者を前に「皆さんのご配慮でこの日を迎えられた。戦没された元兵士の方々も非常に喜んでいるのではと思う」と呉さん。今後は年に一度慰霊祭も企画される予定だ。
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