横浜の地産地消を考える【1】 市が進める農業振興
西区以外のすべての地域に農地をもつ横浜市。市域面積の約7・5%を占め、農家戸数ともに神奈川県下でトップに位置する(2010年世界農林業センサスより)。市は地域の活性化や食の安全などという考えから市民の日常生活の中に農業・農産物のつながりを創造しようと、イベントなどを通じて地産地消を推奨している。本連載では、その意義や市内の農業の現状について考察する。
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様々な具材をサンドした山崎製パン株式会社製造の菓子パン「ランチパック」。年間約400億円を売り上げる同社の主力商品に、9月1日から新たに「横浜産野菜のコロッケ&マヨネーズ」がお目見えした。
これは同社横浜第二工場(都筑区)が横浜市と連携して企画・開発した商品。コロッケに使用されている野菜(小松菜、ジャガイモ、玉ねぎ)は、すべて市内で収穫されたものだ。関東1都6県のスーパーなどで約2カ月間の限定で販売されているが、これまで神奈川県下での売り上げは好調。数あるランチパックの種類のなかで、ピーナッツやたまごなど人気上位3品に次ぐ位置にあるという。同社製品担当はその理由について、「地産地消や地域振興につながる行政とのコラボレーションが、お客様に受け入れられているのでは」と分析する。
同商品にも使用されている小松菜の2006年の作付面積213haと収穫量3700tは、農林水産省の統計によるとともに全国1位。これら市の特産物として親しまれる野菜26種と果物4種の計30種を、市は1998年から「横浜ブランド農産物」として認定。消費者に向けて、横浜産の農産物の周知に努める。
さらに市は、農地の少ない都市部の市民にも横浜の農業を広めようと、2年前からクイーンズスクエア横浜(西区)で地産地消をテーマにトークライブなどを行う催し「よこはま食と農の祭典」を実施している。
だが、現状ではPR不足もあり、市民の横浜の農業に対する認知度は低いのが現状。「より身近に感じられる取り組みを増やしていかないと」と話し、食糧生産だけではなく、教育などの多面的機能や緑地保全からも農業振興を進めていく姿勢だ。
--続く
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