10周年を迎えた「さわやか港南」を設立した 川辺 裕子さん 日限山在住 58歳
広がる大家族
○…「顔なじみの街づくりができていれば、災害時も慌てずに助け合えるのでは」―。阪神淡路大震災により地域コミュニティが崩壊。無秩序状態に陥った避難場所の小学校。当時、PTA役員を務めていた日限山小学校と神戸の小学校とのビデオレターによる交流で知った事実に心を痛めた。これを機に地域の助け合いについて深く考えるようになり、「コミュニケーションから生まれる連携が大切」と、家事などの生活支援を行う「さわやか港南」を平成13年に設立した。
○…買い物や病院の送迎、一時保育など、地域から舞い込む依頼は年間4000件。”地域の茶の間”の役割も果たす活動拠点には、散歩ついでにふらりと立ち寄る高齢者も。「誰か来ると、『お腹すいてない?』とお菓子をふるまうこともあるし、お手伝いもしてもらうの」と屈託のない笑顔を見せる。しかし、そんな堅苦しくない関係が利用者には心地よく、「親戚ができたみたいと喜んでくれる人もいるし、こちらも大家族と思って接しているの」。そこには古き良き”ご近所づきあい”が生まれている。
○…活動拠点となっている民家は利用者から安く借り受けたもの。運営資金に充ててほしいとバザー用品の提供も後を絶たず、活動を支えたいとボランティアとして名乗り出る人も増えている。「”困った時はお互い様”を合言葉に活動してきたけれど、その気持ちが利用者の方にも伝わり、助け合いの輪が広がっている」と喜びの表情を浮かべ、「世の中は甘くないけれど捨てたものでもない」。
○…周囲の支えを受けながら歩み続けて10年。少しずつ、でも確実に助け合いの精神が地域に芽生えつつあるが、「目標を達成できることはないんじゃない。世の中は常に移り変わっていくものだから」とさりげない。それでも、「向こう3軒両隣」を理想像に、「程よい位のいい加減さが大事」と肩肘をはらずに、自然体で活動を続ける。
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