港南区・栄区版 掲載号:2011年5月26日号
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横浜刑務所 受刑者数、常に過剰 高齢化も顕著 最高齢は84歳

社会

全体改築工事前の壁が残る
全体改築工事前の壁が残る

 港南区港南に位置し、東京ドーム約2個分の広大な敷地を有する横浜刑務所。本紙では4月に所長として就任した空閑(くが)龍也氏に取材し、施設の歴史や概要について話を聞いた。

 横浜刑務所の歴史は古く、その前身となった下田牢屋敷(伊豆下田港)の開設は安政2年(1855年)にさかのぼる。その後、横浜戸部(現西区戸部町)、久良岐郡根岸村(現磯子区丸山)と場所を移したが、関東大震災で施設全体が倒壊。移転先として現在地に決まり、昭和11年5月に施設が完成した。

 それから50年が経過した昭和61年、建物の老朽化により全体改築工事を実施。それまで外壁はコンクリート剥き出しの状態など暗いイメージだったが、周辺環境にマッチするよう考慮して白く塗装。都市型の刑務所に生まれ変わった。その際、敷地面積は以前より縮小。現在の港南区役所駐車場にある高い壁は、かつての刑務所の名残だ。

受刑者も高齢化

 同刑務所の収容対象は原則26歳以上の男子で、再犯以上の犯罪傾向が進んだ者。収容定員1263人には外国人も含まれ、国籍は中国やイランなど23カ国におよぶ。受刑者は高齢化傾向にあり、現在入所中の最高齢は84歳。平均年齢は日本人で47歳、外国人は39歳だという。

 これを支える職員は279人で、隣接する官舎などに住む。健康管理を担う医務部には医師や看護師に加え、エックス線技師も常駐。外国人受刑者の手紙の内容確認などのために国際対策室も設置されるなど、役割は細分化されている。一方、施設は常に過剰な状況で業務量は膨大。職員の精神的ストレスは大きいという。

 平成22年の統計によると、主な罪名は窃盗が28・5%と最多、以下覚せい剤(25・1%)、道路交通法違反(7・9%)と続く。また、日本人受刑者の平均入所回数は約4回と高く、出所後に身寄りや就労先がなく、行き場のなくなった元受刑者が、医療や食事など住環境が整った刑務所に戻るために、あえて犯行におよぶケースも多いそうだ。

施設営繕も刑務作業

 規律正しい就労生活を義務付けられる受刑者の起床は午前6時40分。7時50分から正午、昼食をはさみ午後0時40分から4時30分まで刑務作業にあたる。その後、9時の就寝までの時間や土日は読書や手紙を書くなど自由に過ごすことが可能。テレビは予め設定された番組のみ視聴でき、内容は社会の情報を把握させることを目的にニュース番組が多いが、バラエティや映画が放映されることも。

 1日8時間の刑務作業は受刑者の適性や職歴、資格の有無などを調査して指定される。その内容は製品を製作・加工する”生産作業”、受刑者のための洗濯や清掃等の刑務所運営に関わる”自営作業”、公的資格や免許取得などを目的とした”職業訓練”に分類され、施設の営繕や美化も作業の一環。中庭に整然と植えられる季節の花も受刑者によるものだ。

社会復帰のために理解を
受刑者自ら義援金送付も

 

 生産作業の内容は刑務所により異なり、横浜刑務所では主にタンスや木製玩具、作業服などを製作。全国の刑務所で唯一という製麺業も行っており、製粉から手がける乾麺は庁舎前の製品展示場や各地で開催される矯正展でも人気商品だ。

  刑務作業には報奨金が支払われ、その額は全国平均で月4000円程。また受刑者は作業の熟練度により10段階の作業等工に区分されており、報奨金の額はこ れに応じる。報奨金は現金ではなく出所後の蓄えとして釈放時に支給されているが、被害者への損害賠償、親族の生計援助、刑務所内での日用品の購入に充てる ことが可能。また東日本大震災では受刑者が自主的に被災地に義援金を送り、その額は324人で計226万円に上ったという。

季節に合わせた献立

 刑務所内での食事は、熱量も厳密に決められている。主食は米70%麦30%で配合されたもので、刑務作業の内容によって1日1200から1600キロカロリーの3種類に分類。また、減塩やアレルギー、宗教上の理由も考慮された副食は1020キロカロリーとなっている。

 また、献立は決められた予算内で管理栄養士が季節にあったメニューを立案し、職員の会議にかけられて決められているが、炊事を行うのは受刑者。これも、自営作業の一環だ。また、献立には受刑者の希望を取り入れることもあるという。

地域に開かれた施設に

 刑務所内の活動には、民間や外部団体の支援も大きい。たとえば、薬物依存や暴力団からの離脱のほか、交通安全や就労支援の指導では民間自助団体や被害者支援センターなどが協力。ソフトボール大会や書道、絵画などのクラブ活動は民間篤志家が指導にあたる。

  横浜刑務所は「地域に開かれた施設に」と、毎年秋に実施される矯正展で、希望者に施設の見学も実施。また、職員官舎の自治会では港南桜まつりや大岡川ク リーンアップなど地域行事の参加にも積極的だ。出所後の就業は再犯防止の抑制につながるため、空閑所長は、「企業の皆様など地域に刑務所の社会的役割を理 解していただき、元受刑者の復帰を支える社会になってほしい」と語っていた。
 

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刑務作業を行う製麺工場
(写真の人物は職員)

受刑者が整備する花壇
受刑者が整備する花壇

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